はてなDiaryから移行してみました。
記事一覧

人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

アメリカ大統領選に関する感想(マケイン氏のスピーチ)

アメリカ大統領選が終わり1週間ほど経った。結果は、オバマ氏が勝利して次期の大統領となった。選挙人の獲得数としては364対162であるのでオバマ氏の圧勝とも見える。しかし得票数としては、6545万人(53%)と5745万人(46%)であり僅差である。また、白人の投票数とだけではマケイン氏の方が上回っている。したがって、私にはオバマ氏の圧勝とは見えない。しかし、これはアメリカの選挙であり、アメリカ人がオバマ氏の圧勝と言うのであれば、それに異議を唱える理由などなにもない。

さて、今回の選挙の特徴の一つとしては、マケイン氏が従来の選挙戦を行ったのに対して、オバマ氏がネットを十分に活用した選挙戦をしたことがある。オバマ氏の戦術が彼の勝利にどのような貢献をしたかについても、外国人の私がコメントすべきものではないので控える。しかし、この選挙の日本におけるマスコミの報道などについて、ネット社会の浸透にかれめて述べるのは構わないであろうと思う。

開票結果の速報は以前の大統領選と同じようにマスコミにより報道された。しかし、今回はインターネットを介してCNN、google newsYahoo! News の速報を見ていた人が少なくないと思う。これらのメディアの速報画面で、アメリカの地図が赤と青に塗り分けられている様を観ていた人がかなりいたようである。少し前のアメリカ大リーグのワールドシリーズの場合もインターネットを介して、投手が一球投げるごとの結果を眺めていた人が少なくないと思う。このように、日本のマスコミがスルーされて直接アメリカのマスコミの情報を得るという傾向は前からあった。この傾向が、大統領選によりさらに加速したと思う。ただ、これに関しては、日本のマスコミでも報道されたものをアメリカから直接得ただけともいえる。

今回の特徴的なことは日本のマスコミが価値がないと判断して報道しなかったものをインターネットを介して得た人が多いということである。具体的にはマケイン氏が敗戦が確実になった時点で行ったスピーチである。これがオバマ氏の勝利宣言のスピーチと同様にYouTubeで配信され多くの人の見るところとなった。そして、スピーチの内容が書きくだされたものが出回り、小飼弾氏による日本語訳も出された。

  • YouTube」(マケイン氏のスピーチ(YouTube)音が良い)

マケイン氏のスピーチを観た(or読んだ)人の感想をネットで調べると、彼のスピーチが素晴らしく、彼の人格が優れていると思った人が多いようである。日本のマスコミの報道は、マケイン氏よりオバマ氏に好意的であった感がある。それが影響したためか、オバマ氏に正義があり、マケイン氏にはないと思っている人も見受けられた。しかし、スピーチの内容を読むとマケイン氏もオバマ氏もアメリカを良くしたいという点では同じであることがよくわかる。

二人には立場と意見の相違があり、それの是非をめぐって選挙戦が行われ、結果としてオバマ氏が勝者となった。ただ、マケイン氏は選挙戦においてオバマ氏と戦ったことは確かであるが、アメリカを良くしようという強い意志を持っていることにおいてはオバマ氏とは同士である。スピーチにおいてマケイン氏は、これからは同士の代表として選ばれたオバマ氏に協力していることを誓い、支援者にもこれを促している。

Sen. Obama and I have had and argued our differences, and he has prevailed. No doubt many of those differences remain.
These are difficult times for our country. And I pledge to him tonight to do all in my power to help him lead us through the many challenges we face.
I urge all Americans who supported me to join me in not just congratulating him, but offering our next president our good will and earnest effort to find ways to come together to find the necessary compromises to bridge our differences and help restore our prosperity, defend our security in a dangerous world, and leave our children and grandchildren a stronger, better country than we inherited.
Whatever our differences, we are fellow Americans. And please believe me….

Transcript: John McCain's admits defeat - Clarksville, TN Online

http://www.clarksvilleonline.com/2008/11/05/transcript-john-mccains-admits-defeat/より)

このスピーチはマケイン氏ではなくスピーチ作家によりかかれたものかもしれない。ただ、アメリカの理想とするものを表しているものであることは確かである。アメリカには異なる人種、宗教、考え方があることを前提とした国である。そして、それを前提にして一つの国を作り上げていこうとう理想をもっている国、それがアメリカである*1。その理想をアメリカ人が再確認したのがオバマ氏のスピーチであるならば、その理想が建前でなくアメリカが本当に持っているのだということを他の国の人に知らしめることができるのがマケイン氏のスピーチではないかと思う。

今回のマケイン氏のスピーチを読んだ日本人で、アメリカを見直した人はかなりいるのではないかと思う。マケイン氏は大統領選には敗れたが、アメリカのためには大きな貢献をしたのだと私は考える。


【追記】
このスピーチの良かったところは、たくさんあるのですが、あえてもう一つあげるとしたならば、以下のところかと思います。「敗軍の将は兵を語らず」とは少し違うのですが、敗北を潔く認めた部分です。

I don’t know what more we could have done to try to win this election. I’ll leave that to others to determine. Every candidate makes mistakes, and I’m sure I made my share of them. But I won’t spend a moment of the future regretting what might have been.

*1:極東の国がどうであり、その現状を嘆くことは建設的なことではなのでここではしない