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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

読書メモ 「壷霊」(内田康夫)

内田康夫さんによる浅見光彦を主人公とした小説の新刊「壷霊」(これい)が出たので、読みました。

【本のあらすじ】
京都の老舗骨董店・正雲堂の嫁である伊丹佳奈が失踪した。嫁ぐ際に持参した高価な高麗青磁の壺“紫式部”も消えている。残された唯一の手がかり、縁切り神社・安井金比羅宮の形代には、佳奈と夫の離縁を祈願する内容に、見知らぬ女性の名前と住所が添えられていた。その紫野の住所で浅見光彦が発見したのは、何と紫式部の墓。しかも、壺を“紫式部”と名付けた男は、7年前に変死しているという…。京都町家暮らしという条件に惹かれ、佳奈の娘千寿の 依頼を引き受けた浅見は、いつしか怨霊や生霊の息づく古都の底知れぬ深みにはまっていたのだった。

壺(これい)霊 | 内田康夫

今回のドラマの舞台は京都です。主人公である浅見光彦は、雑誌「旅と歴史」の取材のために京都へ訪れます。今回の「旅と歴史」による依頼は、今までと比べると好条件すぎるので、不審に思った光彦は最初は断ろうとするのですが、結局、引き受けることになります。そして、兄からは、正雲堂の嫁の失踪の件のことを頼まれます。こちらは、光彦のもう一つの顔である、探偵としての依頼です。なお、光彦が兄からこの種のことを頼まれるのは異例のことです。

「あらすじ」に「いつしか怨霊や生霊の息づく古都の底知れぬ深み」と書かれていますので、おどろおどろしい内容ではないかと思ったのですが、実際はそうではありませんでした。殺人は起きるのですが、人の道にはずれるような殺人ではありません。普通の観光では知ることのできない京都を、浅見光彦と壺を介して知ることができると考え、気楽に読めばいい小説だと思います。
内田康夫さんの作品を始めて読む人は、上下巻合わせて650ページを費やして何を伝えたいのかと思うかもしれません。しかし、「壷霊」は浅見光彦シリーズの愛好者のために書かれた小説であり、また、そうではない人が上下巻3200円の本を購入するとも思えませんので問題はないように思えます。

なお、今回、題材として扱われていた壺ですが、今まではあまり関心をもっていませんでした。この小説では、壺には何かが宿るようなことを書いていましたが、そういうこともあるのではないかと思いました。“紫式部”のような壺があったらば是非、観てみたいと思いました。ただ、今のところは、どこに行けばそんな壺に行き当たるのかの見当がついていません。美術館に行けば、壺が置いてあるところもあるのでしょうが、陳列ケースに入れられている壺に何かが宿るとも思いにくいです。