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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

「とてつもない日本」のamazonの売り上げ一位に際して、「おくりびと」と世界遺産のブームについて考える

とてつもない日本」という題名からは何の本であるかを把握できない本が、3/11(水)に通販サイトであるAmazonの書籍ランキングで一位になり、現在も一位をキープしています(3/12 19:52)。ちなみに、米アカデミー賞の外国語映画賞を受賞した「おくりびと」の基になった「納棺夫日記」(青木新門 著:文春文庫)は9位になっています。
さて、「とてつもない日本」とは、麻生総理が2年前に書いた本です。それでは、何故、今になって売れだしたかというと、2chによる呼びかけが原因です。

 麻生太郎首相が外務大臣時代の平成19年6月に出版した「とてつもない日本」(新潮新書)が10日、全国で爆発的に売れるという珍現象が起こった。
 これまでの発行部数は約20万部だが、支持率の低迷とともに現在はほとんど「死んだ状態」(出版関係者)だった。ところが、アマゾンの書籍ランキング(11日現在)で1位に急浮上。書籍販売動向の指標とされる紀伊国屋書店全店の売り上げも、8日には5冊だったものが、9日に224部、10日に272部と跳ね上がった。
 この背景は、ネット掲示板2ちゃんねる」で火がついた「3月10日に本屋で麻生太郎の本を買おう!」という“祭り”。3月1日にたてられたスレッドに、呼びかけ人はこう記している。「麻生首相がマスコミや各所からバッシングを受け、支持率も低迷している今だからこそ著作購入を通して麻生首相支持を表明するイベントのスレです」

http://sankei.jp.msn.com/culture/books/090311/bks0903111624000-n1.htm

しかしながら、2chが支持をしたとしても、面白くなければそれほど売れるとは思えません。“祭り”に参加しようとして、「とてつもない日本」を購入した人だけでなく、ネットにおける書評を見て面白いと思って購入した人が少なくないのだと思います。私もその一人であり、読んでみると(少なくても前半は)興味深かったです。米アカデミー賞効果で、「おくりびと」を知り、観にいったらば面白かったというのと同じだと思います。
とてつもない日本」の趣旨は、日本を否定的に観るのではなく、肯定的に観ようと言うことです。肯定的に見れば、日本には評価できることが沢山あり、そのことが具体的な例とともに書かれています。
日本には、たくさん良いものがあるはずです。しかし、自分たちではそれを高く評価せず、外国から評価されると、それに殺到するところがあります。「おくりびと」の映画としての価値は、米アカデミー賞の外国語映画賞を受賞する前と、後では変わりがありません。しかし、受賞したことにより価値を感じ、映画館に殺到する人がいます。今までは日本映画は大したことはないと見向きもしなかったのにもかかわらず、米アカデミー賞を受賞したことにより価値のあるものとしてありがたがるのです。
この状況がもっと顕著に表れたのは、石見銀山世界遺産に登録された時でした。本来、世界遺産とは、他の国の人にこの国にはこんな良いものがあると知らしめるためのものだと私は思います。しかし、石見銀山世界遺産に登録されると地元の人が押し寄せて大混雑が起きました。このために、遠くからやってきた人の中には十分に観光できずにがっかりした人もいると思います。地元の観光関係の人によると、世界遺産に登録される前は暇だったようです。世界遺産に登録されるまえから地元の人が石見銀山の価値を理解していれば、以前から地元は観光で潤おっていたはずなのですが、残念ながらそうではなかったようです。
石見銀山世界遺産に登録されてから後に、多くの観光地で世界遺産への登録を目指すという言う話を頻繁に聞くようになりました。しかし、世界遺産に登録されなくても、観光の資産をアピールするやり方はあると思うのです。そして、世界遺産に登録されていなくても、有意義な観光地は日本には沢山あると思います。

さて、不況に対してどう対処するかというと、二つのやり方がある思います。一つは節約することであり、もう一つは価値を見つけて消費を拡大させることです。この観点から言うと、2chで行われた祭りは、「おくりびと」ブームと匹敵するレベルではないとは思いますが、少なくても消費を拡大させるという点では貢献したのだと思います。