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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

どんな精霊馬でも気持ちがこめられていればOKであること(「日本人の知らない日本語」第5話)

日本人の知らない日本語」の第5話は、お盆に関する話題でした。授業の内容は、怪談と、怖い漢字でした。そして、フォーカスが当たる生徒は、中国人の王(張沫)でした。
怖い漢字としては、「取」、「道」、「県」が説明されました。例えば、「道」という漢字には「首」という漢字が含まれていますが、これには、お祓いのために生首を持って道を歩く習慣があったからという説があるそうです。確かに、怖いです。


さて、お盆は、明治になり西洋の暦(グレゴリオ暦)が採用される前は、旧暦の7月15日周辺に行われていたようです。旧暦の7月15日は満月なので、盆踊りは満月の明かりの下で行われていました。今のように電気で夜も明るくなったのは、歴史のスパンからみるとごく最近ですから、満月の時に盆踊りを行うことは、非常に理にかなったことでした。
今でも旧暦の7月15日周辺にお盆が行われているところもありますが、この場合、グレゴリオ暦においては、年によりお盆の日が移動してしまいます。このため、新暦の7月15日の周辺か、8月15日周辺にお盆を行うところが多いようです。なお、8月15日は、旧暦の7月15日の当たりにほぼ該当します。お盆の時期が変わってしまうことにより、一番困ったのはお盆に家に戻ってくる祖先の霊たちだったと思いますが、日本の近代化のために我慢してくれたのだと思います。

先祖の霊が、あの世とこの世を行き来するための乗り物として、精霊馬(しょうりょうま)があります。これは、ナスやキュウリに足をつけたものであり、先祖を迎える家に飾られます(仏壇の前?)。ナスは牛、キュウリは馬に見立てられているようです。厳格に言うのであれば、精霊馬に乗って祖先が戻ってくるためには、精霊馬をあの世に送らなくてはいけません。しかし、実際には、この世である家に飾っておくだけです。したがって、精霊馬は、あの世とこの世を行き来する為の空間を作る装置とみなすといいかもしれません。


精霊馬については、ほとんどの日本人が知っていると思いますが、多くの外国人は知らないと思います。「日本人の知らない日本語」(第5話)においては、日本語学校の生徒である中国人の王(張沫)がこのことを知らないために、大家の大谷(河原さぶ)から家を追い出されてしまいます。大谷は、亡くなった奥さんを迎えるために精霊馬を作ったのですが、このことを知らない王は、これを素材として麻婆茄子をつくり、大谷に食べてもらおうとしたのでした。そして、このことが王の好意から行われたことがわからない大谷は怒り、王を追い出すことにしてしまったのです。ハルコ(仲里依紗)は、事情を知り、王のために一計を案じます。

ハルコに教室に呼び出されてやってきた大谷に、王は精霊馬を麻婆茄子にしてしまったことを詫び、自分がナスとキュウリで作った精霊馬を渡します。しかし、それは日本の精霊馬とは全く違うものであり、大谷はさらに怒ってしまいます。王はこれは龍であると言い、中国では龍が一番立派な動物だと説明します。しかし、大谷には王がふざけているとしか思えません。
ハルコは、それでは他の精霊馬はどうかと、他の外国人生徒を招き入れます。すると、彼らは自分で作った様々な精霊馬を持って教室に入ってきます。ダイアナ (オルガ・アレックス)が作ったのはズッキーニで作ったおしゃれな精霊馬、マリー (ダーシャ)のはパプリカで作った座りやすい精霊馬でした。ルカ (セバスティアーノ セラフィニー)の精霊馬の後に、ボブ (メイヨー)が「速いぞ」と言いながら見せたのは、とうもろこしにタイヤをつけた精霊馬でした。これらの精霊馬を見た大谷は、他の生徒が王を許してもらうために懸命だということと、精霊馬は日本古来のものでなくても気持ちがこめられていば構わないということを理解します。
場面は日本語学校の屋上に変わります。テーブルの上には生徒が作った様々な精霊馬が並べられています。そして、大谷は、どれでも好きなものを使えと、亡くなった奥さんに語りかけます。王は、大谷のところにいることが許されたようです。


確かに、精霊馬として使えれば、どんなものでもいいと思います。昔とは違い、お墓が遠くにあることもありますから、早く走ることができるボブの精霊馬もいいかもしれません。
今回は、初めて観たときは、もの足りないと感じたのですが、お盆が終わってから見直すと、いい話に思えました。他の日本語教師〔鷹栖一樹 (池田成志)、渋谷太陽 (青木崇高)、カトリーヌ (原田夏希)〕とハルコの“からみ”が少なかったのは残念でしたが、たまにはいいかもしれません。