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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

感動はしなかったけれど名作だと思う「熱海の捜査官」

このクールが始まる前に、“感動などありえないと思われる7月期のドラマ”の一つとして紹介した「熱海の捜査官」が無事に終わりました。感動はしませんでしたが、雰囲気があり、素晴らしかったと思います。このクールで一番お気に入りのドラマでした。何度繰り返して観ても味わいがあります。


で、最終話(第8話)の内容ですが....

3年前に、スクールバスに乗っていた「永遠の森学園」の女生徒を、バスと共に連れ去ったのは、現在は環境保護団体「空と海と虹の会」の代表である平坂歩(萩原聖人)となっている風宮巧でした。行方不明であった3人の女生徒(椹木みこ(山田彩)、月代美波(佐倉絵麻)、萌黄泉(岡野真也))は、医師であった風宮巧の手により、「空と海と虹の会」の地下で、意識不明の形で生かされてされていました。風宮巧は、北島紗英(栗山千明)を守るために星崎剣三(オダギリ ジョー)が発砲した一弾による衝撃のために意識不明になりますが、彼の日記により誘拐事件のあらましが判明します。

事件がとりあえず決着したので、広域捜査官として派遣されていた星崎と北島は、南熱海市を去ることになります。宿にしていた南熱海荘を引き払った二人は、南熱海署にあいさつに行きます。そして、二人は拾坂修武(松重豊)、桂東光子(ふせえり)、犬塚発見(少路勇介)に見送られ、南熱海署を車で出発します。この時点でドラマが終われば、普通の感覚ではスッキリとした終わり方なのだと思いますが、終わらないところが、「熱海の捜査官」らしいところです。

この後、二人は「永遠の森学園」にあいさつに立ち寄ります。星崎は、自分より先に宿を出ていたと思っていた東雲麻衣(三吉彩花)が見当たらないことに気が付きます。教師の敷島澪(藤谷文子)や、生徒の甘利レミー(二階堂ふみ)は、まだ東雲麻衣を見かけていないようです。四十万新也(山粼賢人)にも尋ねると、東雲麻衣にさよならを告げられたことを聞かされます。このことを聞いたことにより、星崎は、東雲麻衣が3年前の事件の共犯だったことを確信します。なお、東雲麻衣は、3年前の事件において、3人の女生徒と共に行方不明になり、その後、事件の記憶を失った状態で発見されています。

星崎は東雲麻衣に会うために、3年前にスクールバスが消失した場所に向かいます。間もなくやってきたスクールバスには、星崎の所有物であるYes-Noランプを持つ東雲麻衣が乗っており、運転しているのは、死んだはずの運転手・新宮寺有朋(山中聡)でした。星崎が乗り込んだバスは、「南熱海は天国かも。ようこそ南熱海へ」という看板があるところを通り過ぎ、天然のトンネルのような所に入ります。東雲麻衣が、「星崎さんは、今どこにいるかわかってますか?」と尋ねると、星崎は「まあ、おそらく」と応じます。そして、星崎は、東雲麻衣に顔を近づけ、耳元で答えをつぶやきます。すると、Yes-Noランプの青のランプが光り、正解という判定を示します。綺麗な形のエンディングだと思います。


宗教団体の件を含めて、このドラマが謎が謎のままで終わったことについては、他のドラマ枠で放送されたのならば、批判する人が少なくなかったと思います。しかし、このドラマ枠は、「トリック」を生み、「時効警察」が放送された伝説のドラマ枠です。それに加えて、このドラマの脚本と演出は三木聡さんが担当しています。それらのことを理解してこのドラマを観ていた人にとっては、それ程驚くべきドラマの終わり方ではなかったと思います。そして、このドラマが謎解きのドラマではなく、雰囲気を楽しむドラマと理解していた人は、このドラマを十分に満喫できたのではないかと推測します。

ドラマのタイトルは「熱海の捜査官」となっていますが、ドラマの舞台は南熱海市という実際には存在しない自治体です。熱海のようなマターリとした観光地の南には、このドラマで描かれたような、この世とは少し違う町、または、この世とあの世の中間のような町があってもいいのではないかということだと思います。なお、現実世界において、熱海市の南にある自治体は伊東市です。

このドラマの中心となる登場人物を演じている俳優は、三木聡さんの作品における常連が少なくないです。具体的には、松重豊ふせえり岩松了松尾スズキさんなどです。この常連に、「時効警察」に出演していたオダギリジョーさんが加わり、ドラマのベースを作っています。三木聡さんの作品に初めて登場したと思われる俳優さんも、このドラマの雰囲気に上手く会っています。特に、それぞれ、東雲麻衣と四十万新也を演じた三吉彩花さんと山粼賢人さんは、上手く雰囲気を出していました。ドラマを進行させるのに効いていた市長の娘・甘利レミーを演じていた二階堂ふみさんも良かったです。

このドラマにおいて、違和感を感じたのは、毎回、桂東光子が星崎に仕掛けるイタズラのコネタでした。ですが、コネタを披露するのが三木聡さんの作品のお決まりでしょうから、致し方がないことだとは思っています。