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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

横浜ベイスターズの住生活グループへの売却交渉が成立しなかった件

TBSがオーナーとなっている横浜ベイスターズの、住生活グループへの売却交渉が成立しませんでした。これを受けて、住生活グループの株価は上昇したようです。私は、野球を観ることはあまりないのですが、横浜市(神奈川県)に若干関係があるので、TBSが横浜ベイスターズを売ろうとしていることを知って以来、関心を持って見守っていました。この件について、以下に、私的なメモとして文章にしておきます。そんな私の文章ですので、野球関係のことで間違えがあってもご容赦ください。


まず、今回、私は、横浜ベイスターズに、買い手が現れるとは思いませんでした。今の経済状況と、最下位が定位置になっている横浜ベイスターズの球団としての価値を考えると、よほど安い値段ではないと買い手がつかないと思いました。ところが予想に反して、複数の会社が手を上げて、住生活グループと交渉が始まったので驚きました。売り手と買い手の想定している値段にあまりにも開きがある場合には、交渉が始まらないと思うからです。

次に驚いたのは、神奈川県の松沢成文知事が、以下のような発言をされたことです。今年、20億円の赤字を出した球団を買うことを検討としている会社に対するリスペクトが微塵もありません。20億円の赤字は、広告費としてオーナー企業として補填することになります。ですから、球団を買おうとしている企業が宣伝目的であることは当たり前のことです。今までは、横浜ベイスターズには企業名が入っていませんでしたが、これは異例のことです。普通は、球団名に企業名などを入れて宣伝に使います。松沢知事は、チーム名に企業名を入れないJリーグのことを念頭にしているのかもしれませんね。

プロ野球:横浜売却問題 知事「会社の宣伝」 「住生活」に不快感」
          毎日新聞(2010年10月15日)
松沢成文知事は14日の定例会見で、プロ野球横浜ベイスターズの買収交渉を進めている住宅設備大手「住生活グループ」の潮田洋一郎会長の言動について「自分の会社の宣伝さえできればいいという論理で球団を買おうとしている」と述べ、不快感を示した。
(後略)

http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20101015ddlk14050248000c.html

松沢知事は、今回の交渉が成立しなくて、TBSがオーナーのままでも、横浜ベイスターズは潰れることはないと思っているのかもしれません。でも、TBSは本業で赤字を出していますから、多額の広告費を毎年払い続けていくことは難しいと思います。当然、横浜ベイスターズがどこかのチームに吸収合併されて消滅することもありえると思います。Jリーグでは、横浜フリューゲルスは、横浜マリノスに吸収合併されるというかたちで、1999年2月に消滅しています。なお、横浜フリューゲルスは、1999年の元旦に清水エスパルスを破り、天皇杯優勝を果たしています。この吸収合併は、サポーターにとってはこの上もない痛手だったと思います。しかし、横浜市や神奈川県にとっては、吸収合併された相手が横浜にある横浜マリノスであったので、大きな痛手はなかったかもしれません。だから、松沢知事も忘れていたかもしれません。でも、今回は、神奈川県に他のプロ野球球団はありませんから、もしもの場合には、神奈川県からプロ野球球団がなくなることになります。


さて、以下のスポーツニッポンの記事(10/28?)を読むと、交渉が決裂した理由は、大きく言って二つあるようです。一つは売却価格、もう一つは球団の本拠地です。売却価格については、売り手のTBSと、買い手の住生活グループの間に20億円の差があったようです。本拠地については、住生活グループは、横浜から移動することも検討していたようですが、TBSはこれに難色を示したようです。

「前代未聞の破談…住生活G、買収断念で“株上がった”」
             スポーツニッポン(2010年10月28日)
(前略)
近い将来の移転を視野に入れていた住生活グループに対して、TBSは強い難色を示した。本拠地に関しては一部で新潟の名前が挙がったほか、住生活グループ内部には静岡移転案もあったという。溝口副社長は新潟移転を検討したことを否定したが、横浜の若林貴世志オーナー(62)は「それ(本拠地問題)は向こうも執心していたから(破談の原因は)そういうことでしょう」と話す。ある関係者は「球団を一新して始めたかったのだと思う」とした。
 横浜は1978年に川崎球場から横浜スタジアムに移転した際、同球場と40年に及ぶ長期契約を結んでいる。10年ごとに見直す取り決めにはなっているが入場料収入の25%に加え、広告、物販収入も球場側にしか入らない。球場使用料は年間約8億円。こうした条件が交渉のネックになったのは想像に難くない。
 さらにTBS側が約60億円の売却額を想定していた半面、住生活グループは40億円程度での買収を目指していたとみられる。
(後略)

http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2010/10/28/10.html


TBSが横浜ベイスターズを購入した8年前に較べて、プロ野球の球団を持つ価値は少なくなっていると思います。特に横浜ベイスターズの場合には、オーナーとなったTBSの運営のまずさにより、成績不振となり、球団の価値を著しく下げてしまいました。球団の本拠地が横浜スタジアムに移り、横浜ベイスターズという名前でシーズンに臨んだ10シーズン(1993-2002)の間には、半分の5シーズンにおいてAクラスになっているようです。そして、1998年にはリーグ優勝し、日本一にもなっています。ところが、オーナーがTBSに代わってからの8シーズンでは、Aクラスになったのが3位となった2005年の1回だけのようです。最下位でなかったのは、この2005年と4位になった2007年だけです。
横浜ベイスターズは、今シーズンは、20億円の赤字であったようです。球団の主な収入としては、TBSが横浜ベイスターズを購入した時点では、入場料の他にテレビの中継料の収入があったようですが、今は、殆どなくなっているようです。逆に、ネットで、何割かの試合を無料中継することにより、球団に興味を持ってくれる人を増やし、入場者を増やすという戦略を採る必要がある状況なのではないかと思います。(【2010/12/30 9:36 追加】さっき知ったのですが、TBSは、公式サイト「ハマスタウェーブ」で横浜の主催試合を無料配信しているそうです。しかも、今季で4年だそうです。横浜ベイスターズの関係者の皆様、大変に申し訳ありませんでした。お詫びをいたします。)なお、楽天は今シーズン、ホームで行われた72試合を、ニコニコ生放送により全て無料で中継したようです。

私は知りませんでしたが、多くのプロ野球球団が赤字のようです。上にも書きましたが、その赤字はオーナー企業の広告費という形で補填されているようです。プロ野球の球団を持つ価値が高かった時代には、オーナー企業は多くの広告費を払うことができたと思いますが、これから球団を持とうとする企業は、多くの広告費を払うことは望まないと思います。住生活グループは、広告費を少なくする手段の一つとして、本拠地を横浜から移動することを検討していたと推測しますが、上にも書きましたように、TBSはこれに難色を示しました。
住生活グループは、横浜市、そして、神奈川県が球団をサポートする意欲が少ないとみなしたのだと思います。私の目には、横浜の人は、横浜ベイスターズより、横浜マリノスの方に関心があるように見えます。そして、広島東洋カープの本拠地である広島市や、東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地である仙台市の方が、プロ野球球団をサポートする意欲が横浜市よりも高いように見えます。なお、広島東洋カープは、1975年から35期連続で22年間、黒字のようです。

以下に、この3チームの、ホームゲーム(72試合)における平均観客数(2010年)、本拠地*1の人口、本拠地のある県の人口を表にします。なお、平均観客数のソースは、http://baseball-freak.com/audience/ であり、「観客数の順位」は、12球団の中の順位です。人口は、2009年10月1日の推計人口*2です。

平均観客数(観客数の順位) 平均観客数 本拠地(人口) 本拠地のある県(人口)
広島東洋カープ(6位) 22,224 広島市(1,170,642) 広島県(2,866,571)
横浜ベイスターズ(11位) 16,800 横浜市(3,671,776) 神奈川県(9,005,176)
東北楽天ゴールデンイーグルス(12位) 15,856 仙台市(1,033,515) 宮城県(2,340,029)

広島市横浜市仙台市は県庁所在地であり、政令指定都市という点では同じです。でも、横浜市の人口は、他の都市の3倍以上あります。さらに、横浜市の人口(367万人)は、広島県の人口(287万人)、宮城県の人口(234万人)よりも多いです。しかし、観客数においては、横浜ベイスターズ東北楽天ゴールデンイーグルスと同程度、広島東洋カープの3/4に過ぎません。したがって、横浜市、神奈川県が集客のために努力をすれば、もっと観客は増えるはずだと思います。しかも、横浜ベースターズは、12球団の中で企業名が入っていないチームなので*3、他のチームがある自治体よりももっと努力をしなければいけなかったはずです。
しかし、巨人、阪神という人気球団との対戦があるセ・リーグにありながら、この程度の観客数にとどまっているのは、横浜市と神奈川県が努力を怠ってきたと見なさせても仕方がないと思います。本来ならば、横浜市、神奈川県はこのことを反省し、球団を買うことを検討してくれた住生活グループ感謝し、横浜に逗まることをお願いする立場だと思うのですが、上記のように、松沢成文知事から出た言葉は、「自分の会社の宣伝さえできればいいという論理で球団を買おうとしている」という言葉でした。横浜ベースターズの加地隆雄球団社長は、以下のように発言されています。買収を購入してくれた住生活グループへのリスペクトは、松沢知事と同様にありません。横浜ベースターズを買わなかった住生活グループの判断は、妥当だったように思います。

「横浜社長が不快感「野球を物として扱われた」」
   スポニチ(2010年10月29日)
(前略)
 また住生活グループとの売却交渉が破談となった背景について「新潟、静岡の草薙、京都(への本拠地移転)という話が出ていた。来年は(横浜で)決まっているからこれは打ち切ろうとなった」と説明。さらに、自身と接触がないまま、破談となったことに「接触がないしあり得ない。サッシを売るように野球を物として扱われた。これは嫌だなと」と不快感も示した。
(後略)

http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2010/10/29/32.html

これからのことですが、横浜ベースターズは成績を上げ、横浜市と神奈川県は集客のために協力し、観客数を増やすことに努めるべきだと思います。できれば、平均観客数で6位である広島東洋カープくらいの観客(平均、22,224)まで増えてくれればいいのですが、とりあえずは2割増である平均2万人くらいを目指したらばいいのではないかと思います。それから、横浜ベースターズは、企業名を冠していないチームなのですから、横浜市は、横浜スタジアム横浜市が保有)の使用料等で便宜を図る必要があると思います。そのようなことの結果、赤字が減れば、横浜を本拠地のままにしたいと考える企業の中で、球団経営が可能であるとTBSが判断できる企業が現れると思います。
今回、TBSは交渉相手と選びませんでしたが、家電量販の「ノジマ」(横浜市西区)が、買収に手を上げていました。「ノジマ」は、2008年から横浜ベースターズとスポンサー契約を結んでおり、ユニホームに「nojima」というロゴが入っているそうです。「ノジマ」の企業規模は、資本金や売上高から判断すると、住生活グループよりは、小さいです。このため、TBSは、横浜ベースターズの赤字を担うのには、住生活グループの方が「ノジマ」より望ましいと判断して、交渉相手に住生活グループを選んだのだと推測します。でも、横浜ベースターズの赤字が減れば、「ノジマ」がオーナーになることは、何も問題がないように思えます。球団をサポートしようとする企業がオーナーとなることが、一番望ましいと思います。

「ベイ売却破談で、買収に意欲のノジマ社長「粘り強く交渉したい」」
              神奈川新聞(2010年10月28日)
横浜ベイスターズの買収に名乗りを上げている家電量販ノジマ横浜市西区)の野島廣司社長は27日、神奈川新聞社の取材に「粘り強く交渉していきたい」と述べ、TBSホールディングスとの交渉を継続する考えを明らかにした。
 ノジマは売却話が表面化した直後に買収の意向をTBS側に伝えたが、住生活グループが優先的に交渉していたため進展はなかったという。TBS側が来季の球団保有を明言する一方、将来の売却に含みを持たせていることについて、野島社長は「(可能性がある限り)TBSへのアプローチは続ける」と強調した。
 住生活Gが買収を断念したことについては「難航している話は聞いていた」と述べた。

 ノジマは2008年に横浜球団とスポンサー契約。ユニホームの胸に「nojima」のロゴを入れている。野島社長は、買収後の球団名を「横浜ノジマベイスターズ」とすることや、相模原など県内の地方球場での試合開催数を増やすなど、地域密着の独自構想を打ち出している。

http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1010280013/

*1:本拠地である球場がある市という意味で使います

*2:都道府県市区町村|データと雑学で遊ぼう!におけるデータベース検索を利用

*3:広島東洋カープにおける「東洋」をどのように解釈するかは微妙です。