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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

広島市が、折り鶴を昇華させるという概念を提示し、実行した件 

贈られることはうれしいことが多いですけれど、困ることも少なくありません。


贈られて困る典型的なものは、いらないものです。例えば、東日本大震災被災地に送られた洗濯されていない衣類です。送った人には、被災地のために何かがしたいという気持ちがあり、送ったのだと思います。しかし、洗濯する環境が整っていない被災地に洗濯していない衣類を送っても、受け取る被災者は少ないと思います。衣類を送るのならば新品をおくるのが望ましいのですが、新品を買って送るだけの余裕はないということなのかもしれません。でも、その場合には、何もしない方が被災地のためには望ましいです。
ゴミとみなされたものを処分するのには、コストがかかります。しかし、捨てることができるということは、対処が簡単だとも言えます。


いらないものとは逆のカテゴリーであると見えますが、気持ちや祈りが込められているものを贈られても、結果的に困惑することもあります。気持ちや祈りはありがたいのですが、それが込められたモノの処分に困るのです。分かり易い例は、折り鶴だと思います。気持ちを込められた折り鶴が贈られることはありがたいと思います。しかし、それをいつまで保持することが適当であるか、どのように処分するかについては、悩ましいことだと思います。

祈りが込められているものでも、神社や寺で購入するものは、1年くらい経てば、お焚きあげで処分してもらうことができます。しかし、折り鶴を贈るという行為が始まったのは、歴史的観点から言えば最近です。このため、どのように対処することが妥当かについては、誰も明確な回答を持てないでいたと思います。おそらく、折り鶴を贈った人も、どのくらい保持されることが妥当かを考えていないのではないかと推測します。

それでも、折り鶴を個人的に貰った場合は、個人の裁量で、いつ処理をするかを決めることができます。家庭ごみに入れて捨てていいかと悩むかもしれませんが、捨てることにクレームをつける人はいないと思います。対処に困るのは、不特定多数を対象にして贈られれた折り鶴を管理しなくてはならない組織です。


この件に関しては、広島市の倉庫に大量に保管されている折り鶴の写真を、痛いニュースで観たことがあります。写されていた折り鶴は痛ましいものに見えました。


広島市は今までは、原爆の被災者を悼み、平和を願って贈られてくる折り鶴を保管する方針だったようです。しかし、増え続ける折り鶴を保管するためには費用がかかります。4月の市長選により新市長になった松井一実さんは、折り鶴を贈った人の思いを昇華させることに決め、これに関する公募を6月に行ったとのことです。

広島市松井一実市長は、国内外から届く折り鶴の活用アイデアを公募する方針を決めた。そのまま残すのではなく、寄贈者が込めた思いを「昇華」させ平和の願いを広げるのが狙いという。この判断により秋葉忠利前市長が長年、唱えてきた折り鶴の長期保存構想は幕引きとなる。
 市は6月、祈りを込めて燃やしたり、はがきに再生したりするなど具体的な方法を募る。実施団体も募集する。折り鶴を一定期間は保存・展示する必要があるのかも問う。
 当面は寄せられたアイデアを市が選考し、実行できる案は8月6日の平和記念式典の時期に試行。今秋に有識者などでつくる検討委員会で審査し、本格的な活用策を決める。

秋葉前市長の長期保存構想から一転 折り鶴活用アイデア公募|ニュース|ヒロシマ平和メディアセンター

この結果、折り鶴を使ったモザイクアートが昨日(2011.8.27)、平和記念公園芝生広場に作られました。この展示は昨日限りであり、折り鶴は再生紙の原料となるようです。なお、折り鶴の一部は、6日の「原爆の日」の灯籠流しで使われたようです。

「折り鶴のモザイクアート、1日限りの原爆ドーム
   読売新聞(2011年8月28日08時50分)
広島市中区平和記念公園にある「原爆の子の像」に寄せられた折り鶴を使ったモザイクアート(縦、横8メートル)が27日、同公園芝生広場に完成した。
(中略)
各地から届く折り鶴は今年3月末で、1億1020万羽(93・6トン)にもなり、保管場所に困った市が活用策を公募していた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110827-OYT1T00609.htm

「広島に届く折り鶴 鎮魂の灯籠などに再利用へ」
   神戸新聞(2011/08/05 06:30)
広島市平和記念公園にある「原爆の子の像」のモデル佐々木禎子さんに平和への祈りを託し、世界中から届けられる折り鶴が今年、初めて再利用される。同市はこれまで展示保存してきたが、現在約1億1千万羽で93トンを超え、保管場所の確保などが課題になっていた。6日の「原爆の日」の灯籠流しなどで使うという。
(後略)

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004332998.shtml

折り鶴が倉庫に保管されている状態であることは、贈り手にとっても望ましいことであるとは思えません。今回、広島市が提示した昇華するというやり方は、折り鶴のためにも良いことであると思います。現在、被災地などに折り鶴を贈るということを行う人がいますが、その発祥は広島市にあるとも言えます。その広島市が、折り鶴を昇華するという概念を提示したことは、大きな意味があると思います。