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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

上海(中国)の地下鉄事故の報道の量により、NHKのエミー賞受賞のことを思い浮かべたこと

27日(2011.9.27)の夜、あるニュースが報道されることを期待してNHKの「ニュースウオッチ9」(21:00〜)にチャンネルを合わせました。すると、トップニュースで報道されたのは、上海(中国)の地下鉄事故でした。多くの死者が出たのかなぁと思ったのですが、そうではなかったようです。なお、報道ステーションでも、このニュースがトップニュースであったようです。

27日午後2時50分(日本時間同3時50分)に起きたこの事故についての情報は、現時点においては以下の通りです。

  • 負傷者は284人であり、その中に日本人は5人含まれていた。
  • 地下鉄は4時間後に再開されたものの、翌日の朝からは一部の区間で運休になった。
  • その日の夜には通常運行に戻った。

驚くことは、この事故についての日本メディアによる報道の迅速さです。ネットでは、同日の17:18にはサンケイニュース(ソースは共同新聞)、17:19にはNHKニュースが報道しています。この後は、事故の原因のことも含めて、詳細な報道が多数行われました。

「中国の地下鉄で追突事故 上海」
   産経新聞(2011.9.27 17:18)
新華社電などによると、中国上海市の地下鉄で27日午後2時50分(日本時間同3時50分)すぎ、追突事故が発生した。負傷者が出ているもよう。
 消防や警察が負傷者の救助に当たっている。地上部分の道路は封鎖された。
 事故があったのは上海市営地下鉄10号線の豫園−老西門間。事故原因など詳細は不明。10号線は上海市の地下鉄としては比較的新しい路線。(共同)

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110927/chn11092717200005-n1.htm

「上海の地下鉄で追突事故 けが人」
    NHKニュース(9月27日 17時19分)
(記事の内容は省略)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110927/t10015880461000.html

サーチナの報道によると、この事故についての日本の報道が速かったことに対して、中国大手検索サイト百度の掲示板にスレッドが立ったようです。まぁ、この事故についての日本の報道が速かったことが中国のネットの住人に伝わったことが速かったことにも驚きますが…。

「【中国BBS】上海の地下鉄事故、日本での速報に「驚きの速さ」」
    サーチナ(2011/09/28(水) 09:53)   
 上海の地下鉄で27日、追突事故が発生した。日本メディアがすばやく速報を伝えたことについて、中国大手検索サイト百度の掲示板にスレッドが立てられた。スレ主は日本のテレビニュースの画面を張り付け、日本での速報の様子を伝えている。これに対してさまざまな書き込みがされている。以下に中国語のBBSを日本語に翻訳して紹介する。( )内は編集部による素朴な感想。
                 (後略)

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0928&f=national_0928_066.shtml


で、上海万博の時や、チリの炭鉱落盤事故の際にも思ったのですが、日本のメディアって、何でこんなにも、海外のことを報道するのでしょうね。不思議でなりません。

今回は、邦人の負傷者が出たという理由があるのかもしれません。それから、中国と日本との結びつきが強くなったことは確かです。実は、私も上海の地下鉄には乗ったことがあります*1

しかし、中国においては、これくらいの鉄道事故は珍しくないのではないので、今回の事故のニュースバリューは、そんなには高くないと思われます。したがって、今回の報道の量は過度であるように感じました。中国の鉄道システムに問題はあることは確かだと思いますが、日本のメディアがこんなにも報道する必要があるとは思えません。今回のことは中国の国内問題ですから、中国の人に任せておけばいいのです。


そう言えば、チリの炭鉱落盤事故に関して制作されたNHKスペシャル「奇跡の生還〜スクープ チリ鉱山事故の真実〜」が、エミー賞の時事問題部門で最優秀賞を受賞したという報道が最近ありました。

「チリ鉱山事故のNHKスペシャルにエミー賞
       読売新聞(2011年9月27日)
 世界の優れたテレビ番組に贈られる米国の国際エミー賞が26日夜(現地時間)に決定し、時事問題部門最優秀賞にNHKの「NHKスペシャル『奇跡の生還〜スクープ チリ鉱山事故の真実〜』」(2010年10月24日放送)が、選ばれた。
 2010年8月5日にチリ北部の鉱山で発生した落盤事故で、地下700メートルに作業員33人が閉じ込められ、同年10月13日に全員が救出された。NHKは、作業員が地下での様子を自ら撮影した映像を独自に入手し、作業員のインタビューを交えて、救出成功の背景を詳報した。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20110927-OYT1T01197.htm


この事件の際には、多数の報道陣が殺到したことによる弊害が起きたようです。日経の記事(今はネットから消えています)には、「米CNNによると、北部コピアポの救出現場には少なくとも39カ国から約1500人の報道陣が殺到」と書いてありましたが、当然、日本のマスコミも多数殺到しました。炭鉱事故で今も頻繁に犠牲者が出ている中国が関心を持つのはともかく、日本のマスコミが地球の反対側にある、自国とはあまり交流がない国に多数、取材に行く理由って、単に絵になる映像が撮れるからにすぎないような気がしました。

米CNNによると、北部コピアポの救出現場には少なくとも39カ国から約1500人の報道陣が殺到。
 フランス紙リベラシオンによると、取材合戦の過熱で、作業員への取材謝礼が高騰。単独インタビューに対し、鉱山での月給の5倍に当たる4500ユーロ(約51万円)の謝礼を提示したテレビ局もあるという。

はてなブックマーク - チリ救出に報道陣1500人 取材過熱、映画化話も :日本経済新聞

読売新聞の記事では、「NHKは、作業員が地下での様子を自ら撮影した映像を独自に入手し」と書いてありましたので、どれだけ大量の金銭が動いたのかと思っていたのですが、「Japan Today」の記事を読むとそうではないようです。

NHK wins International Emmy for current affairs」
   Japan Today(Sep. 27, 2011)
(前略)
The family of one of the miners asked NHK to send a video camera into the mine, resulting in exclusive footage showing the severity of the ordeal.
(後略)

NHK wins International Emmy for current affairs ‹ Japan Today: Japan News and Discussion

ともあれ、費用をかけて製作した番組なのですから、受賞したことは喜ばしいと思います。また、日本の放送局が受賞した事実は、日本にはプラスになると思います。
ただ、地球の裏側まで行って、受賞に値するレベルの番組を作ることが、NHKに望まれていることでは必ずしもないと思います。むしろ、海外のコンテンツ(例:大リーグ中継、韓国ドラマ)、そして、海外に関する報道は適切なレベルに抑えて、支出を少なくしてほしいと思っている人が少なくないと思います。かつては、海外のことを伝えて人々を啓蒙するということが、NHKの使命であると思われていた時代があったかもしれません。しかし、現在は海外の情報はNHK以外からも、大量に得ることができます。まぁ、そういうことです。

*1:この旅行の際に旅行社からもらった、上海の交通機関で共通に使える非接触型のプリペイドカードが、今も手元に残っています。この時点は、交通系の非接触型カードはSuica だったので、進んでるなぁと思いました。