はてなDiaryから移行してみました。
記事一覧

人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

なでしこジャパンの2位狙いへの批判には、賛同しません(ロンドンオリンピック 女子サッカー グループリーグ最終戦〔vs 南アフリカ〕)

なでしこジャパンが、ロンドンオリンピックにおけるグループリーグ(F組)の最終戦において、南アフリカと引き分け、勝ち点を5に伸ばしました(現地時間:7月31日14:30〜、場所:Cardiff)。勝ち点では、最終戦でカナダと引き分けたスウェーデンと並びましたが、得失点差により1位を譲りました。この結果、決勝トーナメントの第1戦目となる準々決勝は、E組1位となったブラジル戦(場所:Cardiff)となり、移動によるロスを免れることとなりました。

この試合は観ていたのですが、後半の始めから20分くらい寝てしまいました。でも、この試合は、一部を見逃しても、全く後悔を感じない種のものです。この試合のポイントは、以下の2つであり、それさえ成し遂げれば、内容が問われないような部類の試合だったからです。

  • 今まで試合で使われていなかった選手に、試合勘をもたせること
  • (できれば)次の試合会場を、この試合と同じようにCardiffとすること

なでしこジャパンは、この二つを実現しました。そして、前者については、今まで先発出場していなかった7人の選手を、全て先発出場させましたので、大成功と言えると思います。

しかし、ネットでは批判するコメントが少なくないので驚きました。批判の主な理由は、2位狙いをしたことと、面白い試合でなかったとです。面白い試合でないことに憤慨している人の中には、自分が面白い試合でないと思ったことを表に出さずに、ロンドンまで観に行った人がかわいそうと言っている人がいるようです。私は、それならば、「つまんねぇぞ、ばかやろう」と怒ったが好ましいと思います。

それだけならば、普段はサッカーに関心がない人が、鬱積のはけ口にしているだけだと解釈すればいいので、大きな問題はありません。でも、マスコミが批判をしていることには、少し呆れました。なでしこジャパンの足を引っ張るつもりなのでしょうかね??これらの批判の結果として、佐々木則夫監督がブラジル戦の指揮をとれなくなったらばどうするのでしょうか?

これに関して、2つの記事を紹介します。一つは読売新聞による「交代川澄へ「素晴らしいシュートはやめてくれ」」という記事です。この記事は、「川澄に指示 シュートやめて」という見出しでYahoo!Newsのトピック記事になっています。もう一つは、サッカージャーナリストの大住良之さんによる「引き分け狙い…なでしこ、フェアプレー精神はどこへ 」というものであり、日本経済新聞の記事になっています。

読売新聞の記事の後半を引用します。

「交代川澄へ「素晴らしいシュートはやめてくれ」」
読売新聞(2012年8月1日15時01分)

(前略)
「2位狙い」は、対戦相手を考えたというよりは体調管理を優先したためだ。
 本大会前の親善試合で完敗した米国やフランスのいるG組2位と準々決勝で当たる1位通過は、避けた方が無難だった。だが、監督は「相手はどこでもよかった」と、難敵回避の意図を否定する。そのうえで「コンディションを保つため。(2位通過ならば)移動がなく、この会場(カーディフ)で準々決勝をやれる」。1位通過なら、準々決勝会場のグラスゴーまでバスと飛行機で約8時間もの移動が必要で、長旅で選手が疲れるのを避けたと説明した。
 選手の多くも「金メダルを取るための作戦」と納得を示したが、爽やかさやひたむきさを、なでしこジャパンらしさだと定義するなら、およそ対極のしたたかさでつかんだ2位通過には違いない。選手への今後の影響が心配――と、試合後の記者会見で問われた佐々木監督は、珍しくムキになった。「勝手に心配してくれて結構」(込山駿)

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2012/news/ballgame/foot/1/20120801-OYT1T00859.htm

記者さんが“なでしこジャパン”に対し感じていた「爽やかさやひたむきさ」は、勝手な思い込みだと私は思います。そして、この思いこみは、今回、南アフリカ戦を批判している人に共通しているものかもしれません。それから、「およそ対極のしたたかさ」は、日本人選手には欠けていると言われていた「マリーシア」のことですよね。

記者さん達の思い込みを満足させるために8時間を移動することは、あまりにも大きな痛手です。それから以下の記事によると、Cardiffで準々決勝を戦う方が、準決勝、決勝が行われるロンドンへの移動も有利なようです。

それから、込山駿記者がご存じであるかは知りませんが、なでしこジャパンが振り分けられたF組には、1位になるメリットはありませんでした。この点において、E組とG組おいて1位となるメリットがあったことと、大きな違いがあります。E組1位と、G組の1位は、他の組の3位と対戦することになります。3位になるチームは1、2位のチームに較べると力が落ちる可能性が高いです。したがって、E組とG組おいては、1位となるメリットがありました。しかし、F組においては1位になっても2位になっても、他の組の2位と対戦することは同じです。対戦相手のレベルが同じならば、移動がない試合を望むことが当然です。

グループリーグの最終戦において上位にあるチームが、試合に注ぐ戦力を思惑によりコントロールすることは、普通に行われていることです。今まで日本は世界的には実力が低いので、コントロールをする立場にはなれませんでした。ところが今回は初めてその立場となったので、サッカーに普段は関心を持っていない人は違和感を持ったということだと、私は思います。

その人達は違和感を持ったかもしれませんが、日本が2位狙いをしたことによって被害を被ったチームはありません。これに関しては、日本と対戦した南アフリカに失礼だったと主張する人がいるようです。でも、私は、南アフリカの多くの人は、おそらく、次のように言うと思います。「勝手に心配してくれてありがとう。でも、私たちは世界チャンピオンである日本と引き分けることができてうれしかった。」


大住良之さんの記事については、最後の部分を引用することにします。

だがひとつ懸念がある。佐々木監督の「引き分け狙い」の発言は、競技を運営する国際サッカー連盟(FIFA)の規律委員会で問題になるのではないか。前述したように、意図的に勝とうとしないことは、明らかにフェアプレーの精神に反している。
 少なくとも、この試合の日本のフェアプレーポイントは大幅に“減点”されたに違いない。悪くすれば、佐々木監督に何らかのペナルティーがあるかもしれない。
 そして私自身は、たとえ準々決勝で勝とうと、そしてたとえ金メダルを取ろうと、この南アフリカ戦でのなでしこジャパンの試合をずっと残念に思い続けるだろう。
 眠い目をこすりながらテレビの前で試合を見守った少年少女たちを含めた日本中の人々を落胆させた罪は、けっして小さくはない。

日本経済新聞 印刷画面

この部分を読んで思い浮かんだのは、なでしこジャパンが優勝したワールドカップ(2011年)の決勝戦(vs アメリカ)の延長後半16分における、岩清水梓選手によるテクニカルファールです。彼女は、レッドカード覚悟でこのプレーをして、結果としてその通りになりました。大住良之さんは、このプレーを残念に思われ、今も思い続けているのでしょうか? (もしそうならば、今回の意見とは整合性があります。)そして、「試合を見守った少年少女たち」は、落胆したのでしょうか?

岩清水梓選手のプレーは、フェアプレーではありませんでした。しかし、相手の選手に怪我を負われる部類のものではありませんでした。そして、多くのサッカー選手があの場面では行う方が正しいと見なすようなファウルだと思います。私は佐々木監督の「引き分け狙い」も同じように私は思います。フェアプレーではないですが、誰も被害を被りませんでした。そして、多くのサッカー関係者が容認するようなことだと思います。


最後に、今回の件について大住良之さんとは正反対である意見を、同じくサッカージャーナリストである 後藤健生さんが書かれていたので、該当部分だけ引用します。

(一部だけ引用)
そして、「引き分け狙い」というあからさまな戦略を駆使できるのが佐々木監督らしいところであり、あるいはまた、日本サッカーの成熟を示すと言ってもいい。「ドーハの悲劇」の頃のナイーブさは、遠い昔の思い出となったようだ。

なでしこ:面白かった、あからさまな「引き分け狙い」 : コラム | J SPORTS


――以上――