はてなDiaryから移行してみました。
記事一覧

人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

衆議院選挙におけるマスコミ報道に感じた問題について、忘れないうちに書いておきます

自民党が圧勝し、民主党が惨敗した46回衆議院選挙(2012年12月16日)から2週間が経ち、既に安倍晋三首相(自民党)による政権(自民党公明党)が始まっています。

今回の選挙を12月16日に行うことは、11月14日にほぼ決まりました。この日から投票日までのマスコミの報道に対して、感じたことが幾つかありました。来年になると忘れてしまう可能性がありますので、今年のうちに書いておきます。

主なものは、次の二つです。

  1. 新聞社などにより毎週発表された世論調査は、弊害をもたらしたと思う(投票結果への影響、投票率の低下)。
  2. 報道が必ずしも公正ではなかった。

この他に、国民は3年間に学習した結果、今回の総選挙においては政党が信頼できるかどうかを重要視したのに対して、マスコミは、政策で選ぶべきだという理想主義に基づいて報道したという問題もあります。これについては、卒原発を掲げて登場した日本未来の党が、総選挙後にどうなったかを見るならば、どちらが妥当であったかが分かると思います。

以下、上記の2つの件について記載することにします。


(1)新聞社などにより毎週発表された世論調査は、弊害をもたらしたと思う(投票結果への影響、投票率の低下)。

近年は、政治に対する世論調査がマスコミによって頻繁に行われています。通常時は内閣支持率、不支持率、各政党の支持率が公表されます。これらの世論調査はサンプル数が豊富でないという問題があります。また、サンプルが少ないということと、調査方法がマスコミにより異なることが影響して、結果にバラつきがあるという問題もあります。しかしながら、各マスコミの調査の方法は一貫しているようですから、数値の推移の傾向を見るためには参考にできるものだと思います。

今回のような国政選挙が近くなると、世論調査は各党の獲得議席を予想するものになります。当然、有権者の投票行動にも影響します。一つは投票先であり、もう一つは投票するか否かです。

今回の総選挙においては自民党の大勝が予想されたために、自民党に投票すると、自民党に驕りが生じてしまうと懸念した人がいたと思います。このことは自民党に対する票を減らす影響があったと私は思います。しかしながら、自民党は圧勝しました。自民党が圧勝した大きな大きな要因としては、最初は新鮮さを感じていた第3極の党において、選挙期間中に問題が露呈たために、自民党に投票をせざるを得なかった人がいたことがあると思います。なお、一部のマスコミは自民党の圧勝を、勝ち馬に乗ろうとする心理が働いた結果だと解釈しているようです。しかし、選挙直前まで投票先を迷っていた浮動票は、組織票と違って、勝ち馬に乗ってもメリットはありませんので、私はこの解釈は違うと思っています。

頻繁な世論調査は、投票率を下げる影響があったと思います。世論調査の結果、結果がだいたい分かってしまったので、時間を作って投票しにいく必要がないと考える人がいたということです。マスコミは、今回の選挙の投票率が低かったことについて、なんやこや解説していますが、一番の原因はマスコミであったと私は思います。


(2)報道が必ずしも公正ではなかった。

マスコミは、かつては、政府など権力を持つものに随従せずに、その問題を指摘することにより、社会を良い方向に導くという使命を担っていました。しかしながら、最近は、本来の役割を忘れて、政府に対して批判的な記事を書くということ自体に、存在意義を感じるようになってしまった感がありました。そして、長い間、政府とは自民党政権を意味していました。この結果、民主党政権になり、自民党が野党になっても、マスコミは批判精神のターゲットを変えなかったように、私には見えます。

このことを反映して、3年間の民主党政権の是非を問う今回の衆議院総選挙においても、民主党政権を的確に評価することを試みるよりも、自民党が政権をとったらばこのような問題が起きるというスタンスの記事が目立ちました。

また、ほとんどのマスコミの記者は公正に記事を書くことに務めているのでしょうが、個人的な見解が記事に反映されてしまうこともありました。典型的な例が、「〈決戦24時〉―12月14日」という朝日新聞(2012年12月14日)の記事でした。この記事は、総選挙の2日前の夜に公表されたものですし、記事の部類を考えるならば、公正さに十分な注意を払って書かなくてはならないものだと思います。

この記事は、各党の主張人物の行動などが、一段落の長さで記されているものです。全部で14件の記載があり、民主党(延べ4人)、自民党(延べ4人)、日本未来の党(2人)、公明党(1人)、日本維新の会(1人)、共産党(1人)、その他(1件)となっています。総選挙前の議席を反映した配分だと思います。

この14件の記載の中の12件は、公正な記載でした。例として、第1件目の記載を引用します。

11・14 民主党安住淳幹事長代行が記者団に「全然大丈夫っすよ。どんどんよくなっているから。踏ん張るのが非常に難しい選挙ではあるが、激戦区を含め80近くある。民主党の本来の支持者が戻れば、新聞で言われているより、はるかに大きい議席がとれる」。

http://www.asahi.com/politics/update/1214/TKY201212140768.html

しかしながら、9件目と、14件目には違和感を感じました。

9件目は、遊説中の安倍総裁がJR東海道線普通列車で移動した際のことです。推測すると、JRの職員が安倍総裁のために席を確保したことに憤慨した乗客がいたようです。そして、その乗客は安倍総裁が席についてからもずっと非難を行い続けたようです。これを目撃した人の中には、この乗客がクレーマー的な傾向を持っている人と解釈した人もいると思います。記事ではこの乗客の立場にたって、「男性は安倍氏の隣に立って苦言を続ける。」という記載をしていますが、「苦言」という言葉には、記者の主観が入っています。また、記事においては、男性は「初老の男性」であるとあえて記載しています。読者の中には、この記事を読む際に、安倍総裁は58歳であり初老の域に入っていることを忘れてしまい、初老である乗客に肩入れする人もいるのではないかと思います。印象操作と解釈されかねない記事の書き方だと思います。

15・30 自民党の安倍総裁が遊説のため、静岡県内をJR東海道線の普通列車で移動中、初老の男性に注意される。JR職員がおさえていた席に、後から乗ってきた安倍氏が座ったため。男性は安倍氏の隣に立って苦言を続ける。安倍氏はしばらく聞いていたが、「だから、すみませんって言ってるじゃないか」と怒り、その後は座ったまま目を閉じる。男性は隣に立ち続けた。

http://www.asahi.com/politics/update/1214/TKY201212140768.html

14件目は、政治家とは全く関係ない話です。何らかの脱原発の団体が首相官邸前で集会をしていたということであり、選挙とも直接の関係がないことです。

19・55 首相官邸前で集会。参加者が「官邸の主は脱原発を掲げろ」と演説。

http://www.asahi.com/politics/update/1214/TKY201212140768.html

この記事を読むと、記者さんは、安倍晋三氏(自民党)か自民党のどちらかが好きではないような印象を持ちました。また、脱原発に関心が深い人のように感じました。そのような考えを個人的に持たれていることは、全く問題がありません。しかし、新聞において事実を伝える記事を書く際には、自分の意見や主観を反映さない公正な立場をとる必要であると思います。


−−−以上−−−