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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

「遠隔操作ウイルス事件」について公正に書いている、江川紹子さんによる「【PC遠隔操作事件】被疑者の素顔を弁護人に聞く」という記事

「遠隔操作ウイルス事件」の妙なところは、警察とマスコミが蜜月状態にあるように見えることです。


マスコミは、容疑者として逮捕されたKさんの取材を、彼が逮捕される前から行なっていました。彼が猫カフェにいる写真をマスコミは報道に使っていますが、これは事前に盗撮していたように見えます。マスコミが逮捕前に取材をできたことは、マスコミが嗅ぎつけたように書いてある新聞記事がありましたが、警察がリークしたと考える人が多いです。

逮捕後も、マスコミは警察がリークした情報*1に基づいて、Kさんが犯人だということを事実だと考えて報道しているようです。しかし、マスコミが報道していることには、本当かなぁと思ってしまうこともあります。計算機に詳しいとは思えない捜査関係者が話したことを、同様に計算機に詳しいとは思えないマスコミが受け取るために、妙な情報になってしまう可能性もありますが、単にそれだけではないように感じています。

マスコミがKさんが犯人だという思い込みに基づいて、脚色した報道をすることが警察には役立つコトならば、週刊文春も役だっているようです。週刊文春は、AKB48など女性アイドルに関する記事を、かなり脚色して書いているように見えますが、今回も、Kさんの弟のインタービューを含む以下の記事を、脚色して書いているように感じます。

  • 「パソコン遠隔操作犯 片山祐輔 「学習院でのイジメ」と「教育ママ」」(週刊文春 2013年2月21日号、2月14日発売)

女性アイドルに関する記事と、今回の記事が同様なのは、書かれている人が訴えるのが難しいということです。アイドルを含む若い女性の場合は、男性が関わる記事のどこまでが本当かについて訴えると、却って自らが傷つくことが多いので、訴えることが難しいです。そして、Kさんの場合は逮捕されているので、どんな記事を書かれても訴えるのは難しいです。訴えられる可能性がない場合のマスコミの記事は、読むに耐えないことが少なくないです。

脚色は抜きにしても、今回の週間文春の記事は、Kさんのプライバシーに関することを含んでいるので、行うべきではない報道です。なお、報道に問題があるのは、週刊文春だけではないようです。


そのような状況の中で、公正な視点で書かれた記事を見たのは、江川紹子さんによる 「【PC遠隔操作事件】被疑者の素顔を弁護人に聞く」 という記事が初めてではないかと思います。

この記事は、Kさんの弁護士になった佐藤博史弁護士に対する、江川紹子さんによるインタビュー(2013年2月19日)の記事です。なお、佐藤弁護士は足利事件菅家利和さんの無実を証明するなど、刑事事件の経験豊富な弁護士のようです。

インタビューの内容は、記事の最後に書いてある「報道のあり方」という部分からだけでも、十分に推測できるものだと思います。

【報道のあり方】
当初、江ノ島の防犯カメラで猫に首輪をつける彼の映像があり、それが決定的な証拠だと報じられました。でも、弁護人がそうした映像がないはずだと指摘すると、いつの間にか立ち消えになって、その後仕事先で使っていたPCに痕跡があるとかいうFBIの話にすり替わっている。あの映像の話はどうなったんですか?報道機関なら、そこをしっかり検証すべきでしょう。なのにそれはやらないまま、警察(の情報操作)に使われている。我々弁護人の主張は、あまり載らない。足利事件や村木さんの事件の教訓は、いったいどこに行ったのですか。

【PC遠隔操作事件】被疑者の素顔を弁護人に聞く(江川紹子) - 個人 - Yahoo!ニュース


Kさんが、録音・録画をしないと取り調べに応じないことにした理由は、問題のウィルスである「iesys.exeアイシス・エグゼ)」に使われているC#(「シー、シャープ」と読むらしいです)という言語に関する警察のあり方に不信感を感じたためのようです。

−−なぜ録音・録画をしないと取り調べに応じないことにしたのですか。
実は、問題のウィルス「iesys.exeアイシス・エグゼ)」に使われたプログラミング言語はC#ですが、彼は「僕はC#は使えない」と言うんですね。ところが、警察が最初に取った身上調書に、彼が使えるプログラミング言語が列挙してあり、その中にC#が入っていたそうです。彼は、C#は他人が書いたプログラムがあって、それが実行できるかどうか確かめろと言われて確かめたことはあるが、自分では書けない、と説明したそうです。そういう大事なことをさりげなく調書に入れ込もうとしていたことが分かったので、調書ができる時のやりとりはちゃんと記録してもらわないと危ない、と思いました。

【PC遠隔操作事件】被疑者の素顔を弁護人に聞く(江川紹子) - 個人 - Yahoo!ニュース

Kさんが、録音・録画をしないと取り調べに応じないことにした件ついては、マスコミは警察の話に基づいて発表しており、もちろん、上記のことなどは含まれていません。


私は神様ではないので、彼が犯人であるか、無実であるかは分かりません。ただ、Kさんが無罪になる可能性は少なくないと考えています。

今回、警察は彼を犯人と立証できる確実な証拠がないのにもかかわらず、彼を逮捕したのではないかという気がします。そうすれば、彼が犯人であるという証拠が見つかると考えて、逮捕したように見えます。そして、それに正当性があるような印象を国民に与えるために報道陣にリークをし、マスコミは期待通りに、彼が犯人だという前提に基づいて記事を書いたということのように見えます。そのような疑いを持たれないためには、リークをせずに、自ら公式発表をする方が得策です。

で、もし残念ながらそうであっても、10年前ならばそれで通ったのかもしれませんが、特に今回は4人の誤認逮捕を警察が行った後なので、難しいような気がします。警察に望まれていることは王道の捜査です。そして、このことは誤認逮捕された4人も希望しているような気がします。


【この件に関する私の記事】

−−以上−−

*1:公式発表ではないという意味