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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

台風の進路の予想は、「台風アンサンブルモデル」で行なわれていることを初めて知ったこと。

気象庁のホームページには「台風情報」というページがあります。このページから、個々の台風の「台風経路図」を見ることができます。

「台風経路図」には、デフォルトでは予報円の中心を結ぶ直線は表示されていません。これを表示するモードに変えると、その直線は表示されるものの、「台風の中心は必ずしも予報円の中心を結ぶ線に沿って進むわけではありません。」という文が、太字で表示されます。
この記載のことを、今まで私は、予防線のような但し書きだと思って来ました。


で、今回、片平 敦さん(ウェザーマップ)による以下の記事を読むことにより、ようやくその意味が分かりました。前編と後編に分かれている記事における前編は、主に台風3号について記載されています。そして、後編はこれを前振りにして、台風の「台風経路図」の作り方が記載されているからです。


まず、前編では以下の様な記述があります。

(抜粋)
台風のような現象について、現在の予測技術は、数日先までの進路をズバリとピンポイントで言い当てるほどの水準には達していません。そのため、台風の進む可能性が高い範囲がピンポイントではなく「円」で示され、台風予報として気象庁から発表されています。

台風3号の進路予報はハズれたのか?(前編) 「予報円」の正しい理解を(片平敦) - 個人 - Yahoo!ニュース


そして、後編では、実際に予報に使われている「台風アンサンブルモデル」が紹介されています。

(抜粋1)
気象庁の台風予報の基礎となる資料は、スーパーコンピュータによるシミュレーション(数値予報)です。気象庁では、気象予測用にさまざまな数値予報が日々計算されていますが、台風の予測用に使用されるものは、「台風アンサンブルモデル」と呼ばれています(そのほかの数値予報や海外の気象機関の予測結果も参考にします)。
(抜粋2)
台風アンサンブルモデルの場合、ごくわずかな差のある11個のデータを基に計算し、11通りの台風の進路を計算しています。

台風3号の進路予報はハズれたのか?(後編) 台風予報の未来を考える(片平敦) - 個人 - Yahoo!ニュース


計算された11通りの進路を元にして、気象庁の予報官は予報円を書いているとのことです。ありがちな思い込みとしては、予想された進路は予報円の中心近くを通るものが多く、両側に均等にバラけているというものです。しかしながら、必ずしもそうでもない場合があるようです。例えば、予報円の中心近くを通るものが全くなく、その両側を通る進路に2分される場合です。私はこのことを知って初めて、「台風経路図」における「台風の中心は必ずしも予報円の中心を結ぶ線に沿って進むわけではありません。」という記載の意味を理解できました。

片平 さんの書かれたような説明のページを作り、リンクするならば、私のように(「予防線のような但し書き」だと邪推をる人はいなくなると思います。気象庁は、国民には細かいことは説明する必要はないと考えているのかもしれません。また、説明してもわからないと思っているのかもしれません。確かに、全ての国民が理解できることではないかもしれません。でも、少しでもいいから、気象庁の意図を理解する人を増やしたほうが得策のように思います。


さて、今回、私が驚いたのは、「台風アンサンブルモデル」の計算結果自体は、片平さんのような気象解説者にも知らされないということです。

(抜粋)
我々気象解説者の立場で言うと、現在気象庁から出される台風予報について、若干「ブラックボックス」的に感じている人も少なからずいると思います。「台風アンサンブルモデル」の計算結果は、基本的には気象庁から民間に部外配信はされておらず、庁内での利用のみ。それぞれのケースにおいて台風がどんな進路をとりやすいと予測計算されているのか、どのような考えのもとに予報官はこの予報円を描いたのか、外部からは、その決定過程がリアルタイムで分かったり推測したりできるものではないのです

台風3号の進路予報はハズれたのか?(後編) 台風予報の未来を考える(片平敦) - 個人 - Yahoo!ニュース

片平さんのご意見は、以下のものです。

(抜粋1)
気象庁が情報の発表を一元化しているからには、通常の天気予報よりもさらに詳細な「予報の説明責任」が求められるのではないでしょうか。
(抜粋2)
「防災情報の一元化」を維持しつつも、防災・減災に資するためには、解説者や気象予報士をより上手に活用する方法がないのか、一考の余地があると思います。

台風3号の進路予報はハズれたのか?(後編) 台風予報の未来を考える(片平敦) - 個人 - Yahoo!ニュース

おっしゃるとおりだと思います。気象庁は、「防災情報の一元化」に、こだわり過ぎているように感じています。その結果、気象庁の威厳を保つためにこだわっていると、解釈する人もいるということが、現実のようです。


日本においては、台風に関する情報は、気象庁発のもの以外は許可されないようです(結果として、セカンドオピニオンを得たい人の中には、アメリカ海軍の情報を参照している人がいるようです。)。

台風予報は、気象庁以外の者が独自に行って広く公表することが許されていません。

台風3号の進路予報はハズれたのか?(後編) 台風予報の未来を考える(片平敦) - 個人 - Yahoo!ニュース

それにもかかわらず、「予報の説明責任」が果たされていないのならば、大きな災害が起きる度に、気象庁に対して訴訟が起こされることになる未来も、あり得ると思います。


「台風アンサンブルモデル」の計算結果は、一般の人がネットでアクセスできるようになっても、何も問題が起きないように、私は思います。これを利用しようとする人は、この情報を理解することができる部類の人に限られているからです。私は、「台風アンサンブルモデル」の計算結果は、気象庁が公表している気象情報 GPV(MSM)と同じように活用がされるのではないかと推測します。

GPV(MSM)では、気象情報(雨量など)の1時間毎の予想(33時間後まで)を、5キロ四方のメッシュにおいて提供しています(6時間毎に更新)。例えば、大きな面積に広がっている自治体の中心部から離れているところの天気を知るためには、有用な情報だと思います。しかしながら、知らない人が多いようです。

天気予報が当たらいないと不満を述べる人は、古典的な天気予報を観ており、それ以上のものには関心がない人が多いようです。これに対して、GPV(MSM)を利用している人は、興味がある地点の天気が実際とは違っていても、完璧に外れない限りは、不満を述べないと推測します。ある地点の天気が実際とは違っていても、実際よりは雨の領域が少なかったとか、雨の領域の動きが少しずれたということがほとんだからです。「台風アンサンブルモデル」の計算結果を公表しても同様に、台風の予報に対する批判が少なくなる可能性があると思います。


【参考情報】

台風情報のセカンドオピニオンとして利用されているものに、アメリカ海軍による「Joint Typhoon Warning Center (JTWC)」による情報があります(時間が日本時間から9時間ズレていることにご注意下さい。)。

Joint Typhoon Warning Center (JTWC)


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