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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

「あまちゃん」の視聴率が極めて高くなくても不思議ではないこと

2013年前期の朝ドラである「あまちゃん」が終わりました。

平均視聴率は、関東では20.6%、関西では16.9%でした。最近の5年間に放送された朝ドラ(全10本)の中では、関東では「梅ちゃん先生」に次いで2位、関西では「カーネーション」と「梅ちゃん先生」に次いで3位になっています。


平均視聴率が高かった朝ドラ[過去5年][ソースは、日刊スポーツ[2013年10月2日]22面]

ドラマ名  舞台        放送期間 平均視聴率(関東)  平均視聴率(関西)
ゲゲゲの女房  東京、安来市(島根)、境港鳥取 2010年前期 18.6 15.9
おひさま    松本、安曇野(長野) 2011年前期  18.8 16.5
カーネーション 岸和田(大阪)    2011年後期  19.1 19.6
梅ちゃん先生  東京         2012年前期  20.7 18.5
あまちゃん   久慈(岩手)、東京  2013年前期  20.6 16.9


マスコミにとっては、「あまちゃん」が平均視聴率においてトップであった方が望ましかったように見えます。以下の朝日新聞の記事では、平均視聴率においては、関東と関西の双方において「梅ちゃん先生」が上回ったとしながらも、BSにおいては「あまちゃん」が上回ったことを強調しています。

このような主張の背景には、マスコミにとって、「あまちゃん」に関して好意的な記事を書くことがプラスに働くという判断があると思います。遡れば、「潮騒のメモリー」(天野春子、7月31日発売)がオリコンの週間シングルチャート(2013年07月29日〜8月4日)で2位になった時にも、好意的な記事がありました(NHKニュースにおいても、この件を報道しました)。ちなみに、この週のトップは、 同日発売の「SUMMER NUDE ’13」(山下智久)でした*1

朝ドラに詳しい人ならば、「あまちゃん」と「梅ちゃん先生」の視聴率を比べると、朝日新聞の記事の前半とは違うような解釈になる可能性があると思います。また、「カーネーション」の視聴率データと較べるならば、関東における視聴率においては「あまちゃん」が上回っているものの、「カーネーション」に優位性があるという判断もあると思います。


最初に、朝ドラの基本的な知識を確認のために記載します。それは、年度の前期の朝ドラ(AK朝ドラマ)がNHK東京放送局で制作され、後期の朝ドラ(BK朝ドラマ)がNHK大阪放送局で制作されているということです。AK朝ドラは東日本を舞台にすることが多いので、関東地方における視聴率の方が高くなります。しかしながら、これに対して、BK朝ドラは西日本を舞台にすることが多いので、西日本における視聴率の方が高い場合もあります(【2013年10月20日 18:15 memoさんのコメントを受けて、少し変更】)。

AK朝ドラである「あまちゃん」は、久慈市(岩手県)を舞台にしました。東北地方に関係がある人が多い関東における平均視聴率は20.6%でした。しかし、岩手県の場所を理解していない人さえ稀ではない関西における平均視聴率は16.9%であり、3.7%も低くなります。「梅ちゃん先生」は、平均視聴率(関東)では20.7 %であり、「あまちゃん」を0.1%上回っているだけです。でも、平均視聴率(関西)では18.5%であり、「あまちゃん」を1.6%上回っています。これから、「梅ちゃん先生」は全国的に好まれたのに対して、「あまちゃん」は東日本で好まれたドラマだと解釈できます。

BK朝ドラである「カーネーション」(舞台:岸和田市大阪府])は、平均視聴率(関東)では19.1%となり、「あまちゃん」を1.5%下回ってます。しかしながら、「あまちゃん」に優位である平均視聴率(関東)において、この程度の差では、「あまちゃん」が上回っているという主張は難しいです。「カーネーション」の平均視聴率(関西)は19.6% であり、「あまちゃん」を2.7%上回っているのですから、むしろ、「カーネーション」に軍配を挙げる人が少なくないと思います。仮に、そのような軍配になったとしても、「あまちゃん」は、過去5年間の朝ドラの中で3番目になります。十分に誇れることだと思うのですが、それではマズイでしょうか…。


さて、「あまちゃん」の熱心なファンの中には、平均視聴率(関東)は実はもっと高く、20.6%という視聴率は何かの間違いではないかと、感じられている方がいらっしゃるようです。こんなに面白いならば、本当はもっと高いのではないかという意見だと思います。しかしながら、そのように考える方の多くは、やはり、朝ドラをあまりご存じないのではないかと推測します。

以下、「あまちゃんが」が面白いという前提において、議論を進めます。私も面白いと思います。でも、私の評価では、宮藤官九郎が脚本を書いているドラマの中では、“中の上”であり、極めて高くはありません*2。例えば、厳しい状況にある主人公をコミカルに描くことは、朝ドラとしては画期的だったのかもしれませんが、クドカン・ドラマではそうではありません。「流星の絆」(2008.10-12、TBS)は、子供の頃に両親を殺されたことにより施設で育った3人*3が、大人になってから犯人を探して復習しようとするドラマですが、コミカルに描かれています。


朝ドラに詳しくない人にとっては、違和感があると思いますが、朝ドラはドラマとして面白くても視聴率が高いとは限らない、不思議なカテゴリーのドラマです。典型的な例が「ちりとてちん」(2007年後半)です。このドラマ(脚本:藤本有紀)は、ネットでは、ドラマ愛好家の間で非常に評判が高かったです。気に入った人の中には、録画をして、何度も繰り返して観るような人が多かったです。番組終了後に発売されたDVDは、朝ドラのDVDの売り上げとしては、歴代の記録を更新ました。

でも、「ちりとてちん」の平均視聴率は、関東では15.9%、関東では17.0%と高くはありませんでした。今のように、多くの人がネットを通じて情報を発信する時代ならば、もう少し視聴率は高かったと思いますが、少なくてもこの時代では大ヒットでありませんでした。ドラマファンの視聴が増えたことを打ち消すくらい、朝ドラの視聴者層の視聴が減ったことが原因です。

ちりとてちん」については、ドラマとしては面白いかもしれないが、朝ドラとしてはふさわしくないという意見がありました。朝ドラには、いい加減に観ていても、また、何回か観ることとがなくても筋が追えるようなドラマが好ましいという考えがあるのです。これに対して、「ちりとてちん」は何度観ても発見があるようなドラマでしたから、正反対の部類にありました。

あまちゃん」もドラマ好きの人の視聴は増えたけれど、典型的な朝ドラファンが離れたために、視聴率がこの程度だったと推測されます。特に、クドカン(脚本を務める宮藤官九郎の愛称)にはクセがあるので、離れた朝ドラファンは少なくなかったと思います。

あまちゃん」は、離れる朝ドラファンを最小限に抑えるために、NHK仕様に作られています。「流星の絆」における高山久伸(桐谷健太)のように特異な人物として描かれる登場人物はいません。また、「ぼくの魔法使い」(2003.4-6、日本テレビ)において、篠原涼子(役名:留美子)が何かを思い出そうとすると、外見が古田新太(役名:田町)になってしまうような設定は、「あまちゃん」にはありません。

しかしながら、東京における展開は、クドカン・ドラマです。しかも、あまりデキの良くないクドカン・ドラマのように“私”は感じます(異論は、認めます)。例えば、東京に行くと、天野アキが期待されていなかったことが判明したり、春子が芸能事務所の敏腕社長に変身する展開は、意図的に強引だと感じました。


さて、「あまちゃん」の報道において、最近、違和感を感じることの一つに、「あまちゃん」の続編化の可能性に関するものがあります。これについては、本田圭佑CSKAモスクワ)のエア移籍の報道に似ているように感じます*4

あまちゃん」の続編の可能性は現時点ではかなり少ないというのが、希望的観測をしない人に多い見解だと思います。「あまちゃん」は現実世界に即して話を進めているので、架空の設定において作られた「ちゅらさん」よりも、続編を作ることは難しいと思います。それから、宮藤官九郎も彼のファンも、しょうもないほどオバカであるために、NHKでは放送出来ないようなドラマを、少なくてもしばらくは欲していると推測します。


【関連記事】

*1:8月の月間ランキングでは、「潮騒のメモリー」は11位、「SUMMER NUDE ’13」は27位でした。

*2:朝ドラとしての評価では、“上の下”です。

*3: 功一[二宮和也]、 泰輔[錦戸亮]、 静奈[戸田恵梨香

*4:今年の夏のマーケットにおける移籍は、少しは可能性があったようですが、それ以前の報道は、無いところに噂を立てていたような感じがしました。