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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

「恋するフォーチュンクッキー」(「さしはら音頭」)には、指原莉乃が踊りがそれほどは上手くはないというイメージがプラスになっていること

大ヒットしている「恋するフォーチュンクッキー」(AKB48)のMVが数多く作られています。しかも、そのほとんどにはAKB48グループのメンバーが登場しないという、不思議な現象が起きています。

AKB48公式チャンネル(Youtube)に登録されているMVは、今の時点(2013年10月14日18時)において15本あり、登録されていないMVは、私が把握できないくらいあります。15本のMVの合計再生回数は、今日の深夜において1900万回を超えました。先週の一週間では、200万回増えています。

この中で私が現在、気に入っているのは、「猪名川町 Ver. 」(10月5日16時公開)です。

このMVでは、猪名川町兵庫県)の人達が、自然に溢れる町の様々な場所において、曲に合わせて楽しそうに踊っています。現時点において、20万回以上再生されています[注*1]。

猪名川町 Ver. 」は、「みのもんたの朝ズバッ!」(10月14日)で紹介されたそうです。残念ながら、私は番組を観ていません。


このMVを観ていると、AKB48の32枚目であるこのシングルは、結果的に「さしはら音頭」になったと感じます。「さしはら音頭」とは、この曲が「恋するフォーチュンクッキー」であることが明かされる前に、センターを務める指原莉乃秋元康に曲のことを訪ねた際に、彼がからかって答えたものです。この曲は、音楽のジャンルとしては音頭ではありません。でも、盆踊りのような沢山の人が集まる機会に踊るにふさわしい曲という意味では、「音頭」という表現が、あながち間違っていないと思います。

以前は満月の明かりの下で行なわれたらしい盆踊りは、多くの村の人が集って踊る限られた機会の一つだったと推測します。踊られる曲は、現在のような定番のものではなく、地域によって異なっていたと推測します。曲として重要なことは、踊りやすいということと、多くの人が知っているという主に2つだったと思います。「恋するフォーチュンクッキー」は、典型的な盆踊り曲とはかなり違いますが、この2つのことは満たしています。

時は移り、余暇が以前と比べると格段と多い時代になりました。そして、多くの人が集めるイベントも増えました。今回のヒットによって、「恋するフォーチュンクッキー」は、それらの際に踊る曲の候補になったと思います。Youtubeを検索すると、この曲がイベントなどにおいて踊られている動画が、かなり見つかります。


上で紹介した「猪名川町 Ver. 」には、多くの年配の方が参加しています。そのほとんどは、AKB48のことを詳しく知らないと推測します。また、この曲のセンターを指原莉乃が務めているを知っている人も少ないかもしれませんし、センターという概念も知らない人もいると思います。しかしながら、それらのことにはどうでもいいことです。重要な事は、踊って楽しい曲であることだからです。

このことは、盆踊り曲のことを詳しく知らなくても、踊る際には支障がないのと同じです。例えば、定番である「炭坑節」について詳しくない人も、現在は稀ではないと思います。歌われている情景は、既に過去のものになっているからです。そして、誰が歌っているかについては、知っている人の方が稀だと思います。ちなみに、私は田川市(福岡県)の「田川市石炭・歴史博物館」に行った際に、説明をしていただきました。


恋するフォーチュンクッキー」の振付は、それほど難しくはなく、それなりの時間をかければ覚えることができます。また、歌詞も平易な言葉であり、曲調も難しくありませんので、歌うのが簡単です。MVで踊っている人の中には、口ずさんでいる人が見受けられます。

このことを反映して、「恋するフォーチュンクッキー」は、私がチェックしているカラオケランキング(joysoundDAMオリコン)において、絶好調です。3つ全てのランキングにおいて、先週(10月7日 - 10月13日)まで5週連続でトップです。月間ランキングが公表されているjoysoundでは、9月の月間1位になっています。


さて、最近は、歌を歌う人(or グループ)にアーティスト性を求める人がいます。 特に、ダンスの上手さを求める人がいらっしゃいます。でも、そのような人の何割かは、自分が推してしていない人やグループにマイナスポイントを与えるために、ダンスの上手さを持ちだしているように感じます。

以前は、歌う際の踊りは、強く求められてはいませんでした。動きがあったとしても、それは「振り」と呼ばれるものでした。ダンスの上手さを求める人の主張の一つは、ステージが盛り上がるからだということのようです。しかしながら、そのように思う人には、ステージにいるアーティストと、客席にいる自分という状況が念頭にあると思います。

このような状況において、観客はアーティストと共に踊るわけではありません。踊りに呼応するとしても、ジャンプすることくらいです。このようにアーティストとの距離を遠く感じる人にとっては、アーティストは批判の対象になりやすいと推測します。

観客との距離が遠いという状況が多くなったのは、音楽の長い歴史の中ではごく最近だと、私は思います。音楽は、身近な人の中で楽器が上手い人が演奏し、歌を歌い、他の人はそれに合わせて歌い、踊りがあるのならば歌うというのが、以前は、一般的であったと思うからです。

両者の距離が近いことは、全国的には稀になったのかもしれません。でも、例えば沖縄では、今でも、普通に存在する風景なのではないかと推測します。私が最後に沖縄に行った10年前では、地域の人が夜になって集まる店において、客が三線を奏で、その他の人が踊るという風景は、稀ではありませんでした。また、民謡酒場においては、お客が歌わされたり、踊ることは、ありがちな風景でした。


距離が短くなったという意味では、「恋するフォーチュンクッキー」は、画期的だと思います。手本として流されるMVは、AKB48グループのメンバーが登場するものではないこともあるからです。他に使われるMVとしては、AKB48公式チャンネルに登録されているMVがあります。再生回数から推測するならば、AKB48のスタッフが多数踊っている「STAFF Ver.」が、一番好まれていると推測します。このMVの再生回数は、現時点で700万回を超えました。


正式版のMVにおいて、センターを務めるのが指原莉乃であることも、心理的な距離を短くすることに大きく寄与していると思います。彼女はAKB48のメンバーになる 前から、モーニング娘などのアイドルファンでしたし、現在もそれは変わりがありません。つまり、こちら側の人間なのです。

そして、指原莉乃はメンバーの中では、歌もダンスも極めて上手いわけではありません。その意味で、彼女はこの曲のセンターに相応しいと言えます。通常では、ダンスがそれ程は上手くないことは、マイナスのイメージになります。それがプラスになってしまうのは、如何にも彼女らしいと思います。

ステージにおける指原莉乃は、他の曲では後ろの方に位置していることがほとんどです*2。でも、この曲になると、前に進み出て、センターポジションに就きます。そして、観客も共に踊って、主役であると感じられる時間が始まります。もちろん、踊りに間違えがあってもマイナスに捉える人はいません。彼女がセンターであるコト自体が、それでも構わないというメッセージだからです。


――以上――

*1:以下の神戸新聞の記事(10月10日)における「無料動画サイトの再生回数は20万回を超え」という記載は、AKB48公式に登録される以前の回数を含めて算出したと推測します。

*2:第5回選抜総選挙において1位になったことにより、以前よりは前に位置するようになりました。