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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

AKBファンのクレームに対する、秋元康の苦言を、AKB村のあり方から読み解く

AKB48グループがファンとの交流に活用するようになったネット上のツールとして、「755」があります。これにおけるファンによるクレームに対して、秋元康が苦言を述べたことが話題になりました。クレームは、簡単にいえば、自分の推しメンに機会を与えて欲しいということだと思います。

ファンと直接交流できるとあって積極的に同アプリを利用している秋元氏だが、中には「最近、何でもかんでもクレームを入れてくる人がいます」という。クレームに関して秋元氏は、「クリエイティブなクレームならいくらでも受け付けます」とする一方で、レコード会社主催のイベントや施策、宣伝等については自身の受け持つ範囲ではないため分からないとしており、「相談される時は意見を言いますが、まず、出版社やテレビ局の意向があるということです。

http://woman.infoseek.co.jp/news/entertainment/rbbtoday_125184


AKB48グループのファンの集合体は、AKB48と呼ばれることがあります。そのあり方が、村社会と似ているからです。今回は、「村社会」という概念を切り口にして、この件を見ていきます(現実の村には、都会にはない良い所があることは、理解しています。)。

村社会には、共通したあり方があります。その一つは、固定された価値基準と序列があることです。例えば、旧家や資産家のメンバーはリスペクトされます。同じことをしても、これらの人達は庶民よりも高く評価されがちです。また、話題にもなりがちです。

AKB村では、初期メンバーや、神7と呼ばれたメンバーが該当します。あることに優れたメンバーのランキングを作ると、かつては、これらのメンバーが上位にランクしていました(例:歌が上手い)。なお、現在は神7の半数が卒業しているので、分かりにくくなっています。

共通性と同時に、各々の村には、特殊なこともあります。AKB村においては、恋愛禁止の重視です。恋愛禁止令は、公式には存在が否定されていますが、多くの村民が、これに抵触したメンバーが制裁を受けることを望むようです。

しかしながら、ほとんどの場合、その特殊性は意識されていないようです。これは、外部の情報が入りにくいことが大きく影響しています。外部のことを知らないために、外の社会も村内と同様だと思いがちなのです。

AKB48グループでは、秋元康が人事などに極めて大きな影響力を持っています。このことから、かなりの村民が、外部にある芸能界の人事にも、彼が同様の影響力を持っていると見なしているようです。この思い違いが、今回の件の発端になっていると思います。


秋元康の芸能界における影響力は、AKB村の住民が考えるほどは大きくないと思います。また全てのメンバーの外部における個人仕事を、詳細にケアする時間もないと推測します。唯一の例外は、前田敦子だったと思います。そして、彼女の件が、幻想が生まれた発端だと思います。

前田敦子は、AKB48において、一番初めに個人仕事をしたメンバーだと思います。これに対して、秋元康は、できる限りのことをしたと思います。彼女が失敗することは、AKB48に大きな痛手になったからです。でも、秋元康の芸能界における影響力の行使は、村民が思っているよりも少なかったと推測します。

前田敦子は、2010年から次の年にかけて、以下の3作品に出演しました。ドラマ「Q10」(日本テレビ、2010.10-12)、映画「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」[略称:もしドラ](2011.6公開)、ドラマ「花ざかりの君たちへ〜イケメン☆パラダイス〜2011」[略称:イケパラ2](フジテレビ、2011.7-9)です。この中で、秋元康の芸能界における影響力が大きく行使されたのは、「イケパラ2」だけだと思います。

Q10」では、ヒロインの人選が難航していました。その際にスタッフが偶然に前田敦子を発見して、抜擢しました。「もしドラ」の原作者は、AKB48関連者の岩崎夏海です。原作における主人公のモデルは、峯岸みなみでした。でも、映画では、主人公を前田敦子が演じました。AKB映画なので、秋元康の意向が反映されたのだと思います。「イケパラ2」では、主人公が前田敦子であるだけではなく、柏木由紀など他のAKB48メンバーも出演しています。このことから、彼の影響力が行使されたと推測されます。

ちなみに、この3作品のなかで成功したものは、「Q10」だけです。この成功に関しては、木皿泉による脚本が高く評価されています。


現在のAKB48グループでは、多くのメンバーが個人活動をしています。現役のメンバーで、一番活躍しているのは、指原莉乃だとする人が多いようです。もちろん、違う意見を持つ村民はいます。AKB48グループのメンバーが出演している番組の全てを、村民が観るような時代ではなくなったために、意見にばらつきがあるのです。

指原莉乃がこれほど活躍することになると予想した住人は、少なかったようです。何故ならば、彼女は、AKB村では庶民として扱われているからです。神7などとは違って、庶民は過小評価されがちなのです。なお、庶民でも島崎遥香のようにカワイイと、扱いが違うようです。これは、他の村社会でも同様だと思います。

指原莉乃の活躍を予想できなかった村民の中には、秋元康が大きな力を行使したのではないかと考えている人が少なくないようです。しかし、実際は違うと思います。キッカケをつくったのは秋元康ですが、現在のように活躍できているのは、彼女の実力によるものです。


彼女が芸能界で活躍できている要因の一つには、彼女が「普通」であることがあります。これには、彼女がAKB48村において、庶民と扱われていたことがプラスになっています。

芸能界において、アイドルとして個人活動できる人数は限られています。何故ならば、アイドルは、お姫様として扱わならないからです。特に、バラエティー番組では、共演者が配慮をしなくてはならないので、彼らに負荷がかかります。

これに対して、庶民として扱われてきた指原莉乃は、芸能界では扱いやすいです。共演するタレントは、彼女を特別扱いする必要がないからです。結果として、共演者には、彼女に仲間意識を感じている人がかなりいるようです。


指原莉乃が活躍できているもう一つ要因は、空気を読む能力があることです。彼女は、置かれた場所における役割を瞬時に理解して、それに則して場に参加する事ができます。

これは、AKB48において、神7が必要とされていなかった能力です。彼女たちは、ありのままでいても問題がなかったからです。しかし、庶民であった彼女には、この能力が必須でした。しかも、彼女のこの能力は、通常よりも1段階上です。彼女は空気が読めてないように見せることができるからです。

彼女と「ワイドナショー」において共演した宮沢エマは、指原莉乃のことを空気が読めると評しました。宮沢エマはお嬢様なのですが、突き抜けているお嬢様なのでモノゴトがみえているのだと思います。これに対して、MCである松本人志は、上記のような、さらに上の評価をしました。あえて、彼女を褒めるように捉えられる表現は使っていませんでしたので、分からなかった人もいらっしゃるかもしれません。でも、彼がMCをしている番組に指原莉乃が頻繁に出演することから、高い評価がされていることは明らかです。

AKB村では、指原莉乃に対して松本人志のような評価をする人は、少数派です。AKB村では、ほとんどの場合、見えたそのままで評価されるからです。指原莉乃のように「頑張っているのに、頑張っているように見せない」ことは、頑張っていないと評価されがちです。


指原莉乃ことはともかくとして…、重要なことは、AKB村と村外では、評価基準が少し違うことです。村外で個人活動をしようとするメンバーは、このことを把握することが有用です。特に、バラエティー番組に出演する際には、必須だと思います。

秋元康による苦言の対象者は、秋元康の村外における影響力が限られていることだけではなく、内外における評価基準の違いを理解していない可能性も高いと思います。


−−以上−−