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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

地域のニュースを、付加情報を加えずに全国的な記事することの是非 (例として、岩国市の生活交通バス[高根線]の最終便の件を記載)

ネットでニュースが読めるようになって良かったことは、色々な地域のニュースを読めるようになったことです。でも、それと同時に思うことは、今までは地域に収まっていたニュースが、それを読むために必要な地域の情報を加えずに報道される際の弊害です。特に、Yahoo!Newsに転載された際には、そう思います。


このことを、最近、感じたのは、岩国市(山口県)が運行している生活交通バスに関するものです。この件は、各新聞社が全国向けの記事にしているようです(朝日、読売、産経、スポニチ)。
しかし、全国向けにするならば、情報を加える必要があったと思います(and/or 情報へのリンク)。情報を加えないのならば、地域の向けの報道にとどめた方が、妥当だったかもしれません。

この件は、具体的には、生活交通バス(岩国市)の高根線(終点までは全2便)の最終便が、乗客がいない場合には、終点までに行かずに、途中で運転を止めていたことです。このことは、過去18年に渡って、慣行として行われたそうです。なお、実際の運行は、は岩国市から委託を受けた錦川鉄道が行っていました。

Yahoo!Newsのトップ記事になったのは、朝日新聞から転載されたものです。

この記事を読んだだけで判断すると、大問題のように見なす人が多いと思います。特に、「あるべき」ことを優先される方は、そうだろうと思います。

問題であることは事実です。でも、この地域のことをある程度知っている人の中には、情状酌量の余地があると考える人の方が、多いのではないかと推測します。


この件を的確に理解するために、知っていおく方が良いと思うことを、以下に記します。

岩国市は「市」ですが、該当する地域は、錦帯橋があるような、岩国駅に近いところ(駅からバスで15分)ではありません。該当地域は、平成の大合併(2006年3月20日)の前は、錦町でした。旧・錦町は、島根県に隣接している山間部の地域です。人口は、国勢調査(2005年10月1日)では、3,793人でした。

該当地域に行くための鉄道路線は、第三セクターである錦川鉄道による錦川清流線です。社名にある「錦川」は錦帯橋が架かっている川ですが、この地域は、かなり上流にあります。

電車は、JR岩国駅から出発します。終点である錦町駅が、この地域の最寄り駅になります。所要時間は約1時間であり、1日10便です。もう少し詳しく述べると、岩国駅から川西駅までがJR岩徳線、川西駅以降が錦川清流線です。全ての便において、川西駅での乗り換えは必要ないようです。

私は、一度だけ、錦川清流線に乗って錦町駅まで行ったことがあります。終点まで乗車した人は、ほとんどが鉄ヲタさんだったような記憶があります。
錦町駅に着いた時には豪雨であり、駅舎をほとんどで出ないまま、折り返してきました。でも、岩国駅を出発して時点では、天気は良かったでし、詳細な天気予報*1 でも問題がなさそうでした。山間部では、天気予報では予想しない雨が降ることがあります。旧・錦町も、これに該当するのだと思います。


問題とされたバスの便は、岩国市による以下のページから辿りつく時刻表を見ると、17時52分に錦中学校前を出発して、錦町駅(17:57着/発)を経て、寂地登山口に19時0分に着きます。
バス停名から推測すると、この路線の終点である寂地登山口は、県境にある寂地山(1,337mm)への最寄りバス停なのだろうと思います。この山は、山口県の最高峰のようです。

報道によると、この便は、客が載っていないと、地蔵前(18:37着/発)、または、寂地峡入口(18:56着/発)で運行を止めていたということです。なお、この2つのバス停の前にある高根(18:22着/発)と深谷挟温泉(18:23着/発)までは、もう少し便があります。高根までは8便、その次のバス停である深谷挟温泉までは6便です。

記事の最初では、最初から詳細に書いても分かりにくいので、「終点までは全2便」と書きましたが、実は、もう一便は、高根において、乗合バス(予約必要)への乗換が必要です(日祭運休)。

Yahoo!Newsに転載された朝日新聞の記事を読んだだけの場合と、これらの付加情報も知った場合では、この件の受け止め方は違う人が多いと思います。高根、または、深谷挟温泉において運転をやめても、被害を受ける人が生じることは、ほとんどなかったと推測されるからです。

読売新聞の記事には、重要な情報が記載されています。

今月9日、地元の住民から「バスが来たり来なかったりしているようだ」と市に連絡があり、発覚。同線の運転手8人全員が関わっており、同社の聞き取りに対し、「見習いの時に教育係から『客がいなければ自己責任で(運行打ち切りを)判断して良い』と言われた」などと話しているという。
 運行の打ち切りは、同社が委託を受けた98年4月以前の旧錦町営バス時代から行われていたとみられる。清水社長は「利用者に大変なご迷惑をおかけし、おわび申し上げます。運転手への指導を徹底し、再発防止に努めたい」と陳謝した。

http://www.yomiuri.co.jp/local/yamaguchi/news/20150227-OYTNT50254.html

旧錦町営バス時代(98年4月以前)から行われていたということは、錦川鉄道に委託が行われる際に、旧・錦町と錦川鉄道との間に、この件に関する了解があった可能性があります。また、この地域の住民の大部分が、仕方なしと、認識していた可能性もあります。

しかしながら、現在の自治体は岩国市になっています。地元の住民から「バスが来たり来なかったりしているようだ」という連絡があれば、対応せざるをえなくなったのような感じもします。

それから、連絡した「地元の住民」が、バスを利用するような人であるかは、記事からは分かりません。参考のために記載しますと... 、交通の不便な地域では、バスを使わない人がほとんどです。そして、バスの時刻を知らない人が大部分であることは、ありがちなことです。


地域の実情を知らずに、議論をしても、それほどの意味がないような気がします。ここまで書いてきてなんですが、私も降りただけですから、該当するのだろうと思います。


【該当する記事】

*1:MSM[雨のエリアのメッシュ予報]http://www.weather-report.jp/com/professional/msm/kosui/chushikoku.html