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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

熊本地震の本震の揺れ(熊本県益城町役場)の揺れは阪神大震災より大きかったことは半月前に分かっていたことなのに、なんで今になって読売新聞は記事にしたのだろうか?

「本震威力、阪神の1・3倍…町役場周辺を直撃か」という読売新聞の記事がYahoo!Newsに転載されました。

この記事は、筑波大の境有紀教授(地震防災工学)の研究の結果に基づいて書かれたもののようです。でも、実は益城町役場の近くの揺れがの阪神大震災の際にの揺れによりも大きかったことは、平成28年4月20日に既に分かっていたことなんですよね。

…と先走りましたが、読売新聞の記事を、まず、引用します。

熊本地震で多くの木造住宅が倒壊した熊本県益城(ましき)町の町役場周辺では、先月16日の「本震」の際、住宅を壊しやすい地震波の威力が阪神大震災(1995年)より1・3倍強かったとの解析結果を、筑波大の境有紀教授(地震防災工学)がまとめた。
 町役場に設置されている地震計のデータの分析から判明した。境教授は「家屋を大きく揺さぶるタイプの地震波が、町役場の周辺地域を直撃した可能性がある」と指摘している。
(中略)
木造住宅を大きく揺さぶるのは、1往復にかかる時間「周期」が1~2秒の地震波とされる。益城町震度7を観測したマグニチュード(M)7・3の本震と、同じ直下型地震でM7・3の阪神大震災地震波を比較したところ、益城町役場での周期1~2秒の揺れの加速度は、阪神大震災の際に神戸市で観測された揺れより1・3倍強かった。

本震威力、阪神の1・3倍…町役場周辺を直撃か (読売新聞) - Yahoo!ニュース

平成28年4月20日に既に分かっていたというのは何故かと言うと、これを知るために必要な情報は、平成28年4月20日における気象庁による、報道資料に記載されているからです。具体的には、『「平成28年(2016年)熊本地震」について(第22報)』です。

http://www.jma.go.jp/jma/press/1604/20c/kaisetsu201604201800.html

この資料には、本震の際の、益城町における計測震度が6.7であることが記載されています。益城町において気象庁が参照している震度計がどこに設置されているかというと、益城町役場です。そして、阪神大震災における計測震度は6.4です。

記事に記載してある「周期1~2秒の揺れの加速度」と計測震度の間のマッピングの仕方はともかく、その間に正の傾きがあることは明らかなので、阪神大震災より地震波の威力が大きかったことは、容易に推測できます。

それから、「町役場の周辺地域」の値と強調しているように見えるのは、防災科学技術研究所の関係の震度計が町役場から500m離れてあり、ここでの計測震度は町役場から低いからだと思います。


さて、計測震度はディジタル加速度記録3成分を元にして算出したaという値から、I = 2 log a + 0.94とういう式で求めるようです。このaという値が地震の大きさに該当するならば、2つの地点を1と2というインデックで表した際のa1とa2の比率は、以下のから逆算すればよいことになります。つまり、 I1 - I2 = 2 log(a1/a2) です。 

でも、これを求めるための計測震度は小数2桁くらいでないと、精度が良いa1/a2を逆算できません。で、境有紀教授の以下のページを見てみました。

http://www.kz.tsukuba.ac.jp/~sakai/kmm_hk2_jp.htm

すると、I1とI2は、気象庁の計測震度では、6.77と6.49のようですが、教授の提案震度は6.87と6.63のようです。これを式に代入するとa1/a2は、1.318となりますから、なんとなくもっともらしいです。

細かいことはともあれ、この大小関係が分かったことがこの記事の趣旨ならば、半月前に分かっていたこととなんで今になって記事にするんだということになります。
また、1.3倍であるという数値のみが真実であるという主張ならば、それが分かりやすく記事を書くべきです。でも、マスコミの科学関係の記事が趣旨も含めて分かりにくいのは、通常営業ではあります。


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