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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

“おかしさ”が面白さと混同されている秋元康プロデュースの世界(番組「ラストアイドル」)において、アイドルらしさが際立つ 『この恋はトランジット』(Someday Somewhere)

「この恋はトランジット」(Someday Somewhere)のMV(Short ver.)が公開されました。サムサムという愛称で呼ばれるこのアイドルグループは、ラストアイドルファミリー(後述)の一員です。そして、この曲は指原莉乃がこの曲限定でプロデューサーとなってプロデュースした曲です。

アイドルらしい良曲だと思います。「君のことが大好きと悔しいくらい叫ぶから」というフレースは脳内に残留しやすく、いつの間か口ずさんでしまいます。

アレンジも良いですし、言葉の音の音符への割り当てかたも上手いです。指原莉乃のプロデューサーとしての長所が余すことなく注がれている曲だと思います

この曲におけるパートは、メンバーに上手く割り当てられており、彼女達の各々の良さが引き出されています。そんなことは当たり前に思うかもしれませんが、例えばAKB48の曲において最も重要視されているのは序列を尊ぶことであり、必ずしもメンバーの資質や個性ではありません。

この曲は、元カレにふられてしまった女の子における、それでも彼のことを思う気持ちを明るく爽やかに描いています。上述のフレーズでは、"悔しいくらい"において含意されています。


この曲はSomeday Somewhereに宛てて作られた曲です。それを説明するためには、少しこのグループのことを説明する必要があると思います。

Someday Somewhereは、秋元康がプロデュースするアイドルグループのメンバーを撰ぶオーディション番組「ラストアイドル」の由来のグループです。この番組では、ファーストシーズン(テレビ朝日、2017年8月~12月)において選ばれなかった候補者から4つのセカンドユニットが作られ、このグループはその一つです。なお、この合計5グループをラストアイドルファミリーと呼ぶようです。

秋元康がプロデュースすることから容易に想像されるように、オーディションのあり方は無慈悲なものでした。例えば、Someday Somewhereのダブルセンターの一人である間島和奏は、初期メンバーでした。しかしながら、第10回において挑戦者に敗れたために、のちにラストアイドルと名付けられたグループの一員にはなれませんでした。

ラストアイドルはCDデビューし、そのCDではSomeday Somewhereを含めたセカンドユニットはカップリング曲を歌っています。なお、これらの曲は全て秋元康のプロデュースです。


ここまで説明すれば、「この恋はトランジット」がSomeday Somewhere、特に間島和奏に宛てて書かれていることを、多くの人は察すると推測します。曲の主人公の女の子が元カレからふられたことは、以前はセンターであった彼女がその座から降ろされたことに対応するからです。

さらに、「好きなあの子にもそんな顔してるの? 」という歌詞は、元カレが乗り換えた女の子と現在も上手く行っていることを意味しています。これは間島和奏の代わりにセンターになった者がその座をキープしてCDデビューに至ったことに対応しています。それから「あの日見捨てたことは忘れるわ」ということは、自分をセンターから外した審査員や秋元康を彼女が恨んではいないという意味に受け取れます。


曲には「この恋を諦めて他の人見つけたら拗ねてくれる?」というフレーズもあります。これは「ラストアイドル」の第2シーズン(2018年1月~3月)に該当することだと思いますので、さらに説明を加えます。

第2シーズンは、セカンドシングルの表題曲をラストアイドルセカンドユニット4組が競うものです。なお、1位となったグループ以外も、カップリング曲を担当することができます。

各グループは秋元康を含む異なるプロデューサーによってプロデュースされました。秋元康以外は、織田哲郎つんく♂小室哲哉指原莉乃です。Someday Somewhereにとっての他の人には、指原莉乃が該当します。"他の人見つけたら拗ねてくれる?"は、セカンドシーズンにおいて表題曲を獲得できたら…、というふうに読み取れます。

設定は、直接対決の総当たり戦の結果、3位までが決勝トーナメントに進めるというものです。そこでは2位と3位が対決し、勝者が1位と表題曲をかけて戦う権利を得ます。なお、勝敗が同じ場合には、全グループを対象に行われた視聴者投票において優ったグループが上の順位になります。

勝者を決める判定には4人のジャッジが関わります。しかしながら勝者は、番組運営が選んだただ一人の審査員の独断で決めるという不可解なものです。もちろん、勝者を決めた審査員とそれ以外の3人の審査委員の判断が違うことはありえ、実際にもありました。

各対決において、対決する2グループは4人の審査員の票を分け合います。対戦は4回ですから、最大では16票を得ることができる可能性がありました。

1位(3勝1敗)となって、そのまま決勝に進んだグループは、Good Tears織田哲郎プロデュース)でした。このグループが得た審査員得票総数は4票でした。

もう1つの決勝進出グループは3位(2勝2敗)となったシュークリームロケッツ秋元康プロデュース)でした。決勝進出ができたのは、2位(3勝1敗)であるLove Cocchiつんく♂プロデュース)との対決を制したからです。シュークリームが得た審査員得票総数は6票です。つまり、決勝に進出したグループは、いずれも過半数の票を得ていません。

ちなみに、視聴者投票で最多の票を獲得したグループはSomeday Somewhereです。このグループの審査員得票総数は9票ですが、0勝4敗でした。審査員得票総数では過半数を得ているのにもかかわらず、勝負では1度も勝てていないということです。

このような結果を“おかしい”と思った視聴者は少なくなかったようです。これはある意味で、秋元康の意図通りだと思います。彼は、“おかしさ”を面白さと意図的に混同する傾向があり、それをプロモーションに使ってきたからです。

AKB48のプロデュースにおける最も顕著な例は、指原莉乃セカンドシングル「意気地なしマスカレード」(2012年10月17日)にフロントダンサーをつけたことだと私は思います。歌い手を盛り上げるバックダンサーではなく、彼女を視聴者の視界から遮るフロントダンサーをつけることは、普通の感覚では“おかしい”です。

フロントダンサーのグループは、この“おかしさ”を作るためだけに結成されました。アンリレと名付けられたグループのメンバーは川栄李奈入山杏奈加藤玲奈でした。

秋元康の馬鹿げた思いつき(気まぐれ)でしたが、指原莉乃もアンリレのメンバーも断ることができる立場ではありませんでした。この時点の指原莉乃は、まだAKB48選抜総選挙において1位になったことはなく、しかも、例の文春砲をくらった4ヶ月後でした。なお、この時期においてパワハラという言葉がどのくらい知られていたかは私は知りません。

川栄李奈については、最近には女優として活躍しているのでご存知の人もいると思います。彼女の成功の要因は、早めに“おかしな”世界から抜け出したことかもしれません。

私には秋元康は、プロデュースするアイドルを小説の中の登場人物のように見なしているように見えます。小説家は小説を面白くするために様々な不幸をもたらします。不幸の代表的なものは、登場人物が病気、事故、事件に見舞われることなどです。でも、それが問題ないのは、実際の人物ではないからです。

主人公などのメインのキャラの場合には、それを通じての成長が描かれることがあります。でも、端役の場合には単に不幸に見舞われるだけに終わることがかなり多いと思います。


秋元康はプロデュースのために登場人物を競わせることが好きです。彼のこの嗜好は「ラストアイドル」を観ている人にもわかると思います。

AKB48ファンの中には、自分の推しメンのために他のメンバーをdisる人が、認識できるレベルで存在します。このようなプロモーションによって引きつけられた人の中には、この部類の気質を持つ割合が通常よりも高いのかもしれません。もちろん、ほとんどのファンは善良なのだと思います。
このことで最も被害を受けているのは最も成功しており、知名度が高い指原莉乃です。彼女が失敗すれば彼女の代わりに推しメンがテレビに出れると思っているファンもいるようです。実際には、そのようなことにはならず、AKB48グループのプレゼンスがかなり減るだけなのですが…。

このような人の存在はAKB48が上り坂であった時代は活性化をもたらすことがあったのかもしれません。しかし、下り坂になるとマイナスが際立ってきたように見えます。

このことには秋元康は気に留めていないようです。彼の創造の世界におけるメインキャラはAKB48ではなくなっているからです。

現在は、メインキャラはAKB48から坂道シリーズ(乃木坂46欅坂46)に移っていると思われます。もちろん、「ラストアイドル」が成功すれば、さらに移る可能性はあります。


ラストアイドル」におけるジャッジの問題の多くは、誰がどのグループのプロデュースすることが分かっていることに起因していると思います。このことによってジャッジに、忖度や保身やプロデューサーへの評価が紛れ込む可能性があります。なお、保身とは、負けを判定することによって被るマイナスをできるだけ少なくする判定をすることです。

この意味では指原莉乃は不利でした。彼女以外は一世を風靡した人達だからです。

彼女が不利だった要因は他にもあります。ここでは3つを記することにします。


1つ目は、彼女が発売するCDの購買層に響く曲をプロデュースしたことです。あるべき姿だと思います。「この恋はトランジット」が視聴者投票で1位でしたので、彼女は目的を果たせたことになります。

しかしながら、審査員の平均年齢はCD購買者よりも20歳くらい高かったようです。中にはこの曲がほどんど響かないほど、人生を歩んだ人もいたかもしれません。

参考までに記しておきますと、総当たり戦の第1戦( ラストアイドル vs Someday Somewhere、1月21日放送)における審査員は、マーティ・フリードマン(ギタリストなど、55歳)、倉田真由美(漫画家、46歳)、ピエール中野(ドラマー?、37歳)、日笠麗奈 (ファッションモデル、29歳)でした。判定は2対2であり、各々の判定は、年齢から推測したものと同じでした。なお、勝敗を決めた審査員は倉田真由美であり、年長組です。

それでは他のプロデューサーはどうだったかというと、CDの購買層に響く曲であることを必ずしも最優先にしなかった可能性があります。また、彼らの年代の人がプロデュースするならば、意図的でなかったとしても、審査員の方により響くものであるものになる可能性の方が高いと思います。

2つ目は、「この恋はトランジット」はアイドルらしい躍動感がある、ど真ん中に直球を投じるような曲であることです。これも、あるべき姿の曲だと思います。でも、審査員には、今の時代はそれでは売れないだろうと考えていた人もいるようです。

審査員には音楽には詳しくはない人も少なからず含まれています。その中には、ラーメンならば奇抜なトッピングが載っているものが素晴らしく、それがないものは物足りなく思うような人もいたかもしれません。でも、美味しいラーメンは麺と汁だけでも美味しいものです。

「この恋はトランジット」の汁は一見は普通に見えますが、実は様々なものが組込まれています。例えば、既に述べたようにこの曲はSomeday Somewhereのメンバー、特に間島和奏に宛てた曲です。もちろん、メンバーは思いを込めて歌っていると思います。

残念ながら、そのことに理解が及ばずに、単なるアイドルソングとして敗者とした審査員が少なくないようです。ラーメンの例ならば、トッピングに気を取られて長年にわたって食べていることによって、本来の美味しさを味わえなくなっていることに該当すると思います。極端な場合には、汁を一口も飲ずに判定を下した審査員もいたかもしれません。

CDを楽曲の力ではなく、奇抜なプロモーションや特典で売る商法を嫌う人はいます。でも、嫌いながらもいつの間にか気づかないうちに、その価値観に取り込まれている人は意外に多いのかもしれません。

3つ目は番組運営による忖度があったかもしれないことです。実は指原莉乃は、「この恋はトランジット」はSomeday Somewhereに宛てて書かれた曲であることを何回か話しており、それはカメラに収められていたようです。しかしながら、審査員に提示されたビデオには含まれていなかったようです。

これは番組運営が秋元康の意図を過度に忖度した結果かもしれませんし、ビデオで見せなくても審査員は分かるので含める必要がないと見なしたのかもしれません。もし、後者ならば番組運営は審査員の人選を間違ったということになります。

番組運営に忖度にあると想像する最も大きな理由は、Someday Somewhereの第4戦の判定を下す者を中森明夫にしたことです。彼は「指原退治」の発言で知られるように指原莉乃のアンチです。そして、彼の判定は多くの人が予想した通りでした。

Someday Somewhereは第4戦を前に3敗を喫していたので、決勝トーナメント表に進出できないことは分かっていました。でも、それだからこそ、一矢を報いたいと強く願っていたと思います。番組運営には想像力に乏しい人が紛れている可能性があります。


これまでに記載したことから、私が憤慨していると推測する方がいらっしゃるかもしれません。でも、そんなには憤慨していません。私には秋元康プロデュースに違和感があるので、最近は基本的には興味を持たないことにしているからです。「ラストアイドル」を観たのも、2回だけであり。しかも部分的です。

1度目に観たのは、総当たり戦の第1戦( ラストアイドル vs Someday Somewhere)です。目的は、Someday Somewhereの曲を聴くことだけでした。でも、コンテンツの順番の影響でラストアイドルの曲「風よ吹け!」も聴くことになりました。

「風よ吹け!」については……、正直なところを記するならば……、どんなものかという感想を持ちました。アイドル向けの曲とは思えなかったからです。この曲は視聴者投票において最下位でしたので、少なくとも的はずれな感想ではなかったと思います。勘違いされる方もいるかも知れませんので、念のために書いておくと、私はtrfとglobeはかなり好きでした。

この回については、以下のブログ記事を書きました。
natuka-shinobu.hatenablog.com

このブログ記事へのアクセスは最新回(3月25日放送)の放送後にかなり増えました。この回の最初の部分を覗いたのは、何がアクセスをもたらしたかを知るためです。

今回のブログ記事の主旨の1つは、以前の記事を読んでいただいた人に「ラストアイドル」以外における情報を提供するためです。「ラストアイドル」については観た回数が少ないので、記載に誤りが紛れている可能性があります。その際には申し訳ありませんが、この記事が書かれた意図を汲み取っていただくことによって、ご容赦いただけるようにお願いしたいと思います。


私は「ラストアイドル」自体には関心はないです。でも、「この恋はトランジット」(Someday Somewhere)は、10回くらいは聴きましたので、メンバーにはある種の親近感を抱くようになりました。グループとメンバーの幸運を願います。もちろん、他のグループにもマイナスな気持ちはありません。

間島和奏twitterを見ると、『個人的に二番のサビ終わりの「気まぐれグランピー」って歌詞が大好きです』となっていました。このことからも、これから曲を評価しようとする人は、ラーメンの汁をすべて飲んでから行うほうが望ましいと思います。

私はこの部分を聴くといつも、グランピーって誰なのかなぁと思ってしまいます。このように想像させることも、汁に組み込まれている要素だと思います。私が思い浮かべることが多いのは、還暦をそろそろ迎える少なくとも少し太り気味の姿です(念のために記すると、秋元康)。

この推測があっていたとしても、本人は怒りはしないと思います。彼はこの種のことには寛容であり、むしろ喜んだかもしれません。ただ、番組運営については分かりません。もちろん、気づいていない可能性の方が高いと思います。


ーー以上ーー