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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

女性アイドルグループ=LOVE(愛称:イコラブ)の4thシングル「Want you! Want you!」(2018年10月17日発売)のMVの解説と考察

女性アイドルグループ=LOVE(以降、イコラブ)の4thシングル「Want you! Want you!」(2018年10月17日発売)のMVが9月6日の昼に公開されました。そして、その夜には、一周年記念イベント(Zepp DiverCity Tokyo)において初披露されました。なお、一周年とはグループ名と同じ1stシングルの発売日からです。

「Want you! Want you!」は、popでキュートで可愛いキラキラ感があるカラフルな曲です。イコラブの表題曲に振れ幅が大きいことを知らない人では、3rdシングル「手遅れcaution」との違いに驚いた人が多いようです。なお、振れ幅が大きくても、後述のように基本的なあり方には変わりがありません。

イコラブのプロデューサーである指原莉乃は、この曲のターゲットを20代前半の女性を想定したように思います。彼女の書いた歌詞には。例えば、「オレンジ色のリップ」など、女性の方に親和性がある言葉が含まれています。

直接の対象外となったファンへの配慮のために彼女は、「男性は5thを心待ちにしつつ、部活中〜を聴いて懐古してください」とtweetしています。なお、“部活中〜”とは3rdシングルのカップリング曲である「部活中に目が合うなって思ってたんだ」のことです。男の子の恋心を描いた曲なので言及対象にしたのだと思います。

https://twitter.com/345__chan/status/1037581513712316416

しかしながら、彼女の心配は杞憂のようです。男性ファンの多くはこの曲に十分に満足しているようだからです。メンバーがMVにおいてこれほどキラキラと輝いているならば、ファンとしてはそれだけでも満足なのだろうと思います。


作品における担当者の中で確実に判明している者だけを、まず示します。ZUMIは3rdシングルのMV(2曲、CDに含まれず)に続く起用です。

トータルプロデューサー 指原莉乃
作詞 指原莉乃
作曲 ArmySlick,Yu-ki Kokubo,YHANAEL,YUU for YOU
編曲 ArmySlick,YUU for YOU
MV監督 ZUMI

この他、振り付けは武田舞香のようであり*1、衣装は彼女の融通がきくオサレカンパニーが担当していると推測されます。それから、MVに登場するメンバーを描いたイラストは、たなかさん(@gojio)に依頼しています。


MVで着用されている服は、ステージ衣装と私服的衣装の2種類です。

ステージ衣装は、黒に近くシンプルで無個性的であった3rdシングル「手遅れcaution」とは正反対であり、軽やかです。
 

具体的には、ベイビーブルーと白を基調しており、胸のリボンなどのアクセントにはローズピンクくらいの色を使っています(色については以下の色見本を参照)。ベイビーブルーと白の割合はメンバーによって異なります。

www.colordic.org

なお、このステージ衣装は一周年記念イベントから着用されています。


ステージ衣装は色の割合だけでなく、デザインもメンバーの個性に合わせて変えています。大谷映美里の衣装はオシャレな佇まいが似合うものであり、齊藤なぎさの衣装は可愛さが際立つものです。そして、髙松瞳の衣装は活発な女の子、野口衣織の衣装はボーイッシュな女の子に似合うものです。

衣装のデザイン画は指原莉乃が描いており、フィッティングにも参加したようです。このことからも分かるように、彼女はこの作品において、作詞以外にも大きく関与しているようです。


私服的衣装は、彼女の要望に合わせて、衣装担当が選んだ既製服なのではないかと推測します。例えば、諸橋沙夏の着用している服は、ハニーシナモンのものであることが、同社の公式tweetから分かっています。
https://twitter.com/honeyc0214/status/1037872827959889920


指原莉乃の期待どおりに、この曲とMVは若い女性たちに評判が良いようです。そして、彼女たちの情報拡散力の恩恵も得て、多くの再生回数を得ているようです。

再生回数は、公開*2から1週間後には約41万回を超えました。季節的テーマを扱った2ndシングル「僕らの制服クリスマス」ほどではないとは思いますが、かなり順調な伸びになっています。

順調な伸びの要因は、何度も観たくなるようなMVであることです。一般的にMVは、公開日から遠くなると徐々に1日あたりの再生回数が減るのですが、このMVでは今のところは大きな減少はありません。念のために帰しておきますが、Youtubeのカウントは、1日何回観ても1回のようです。

繰り返して観たくなるのは、観る度に幸せ感を感じるためのようです。この意味では部類は少し違うものの「恋するフォーチュンクッキー」(AKB48、2013年8月発売)に似ているのかもしれません。なお、この曲のセンターは指原莉乃が務めています。


この曲にk-pop感を感じる人もいるようですが、それは作曲陣にTWICEの日本発売版に関わっている日本人が含まれているからだと推測します。前山田健一ヒャダイン)に作曲を依頼した曲がももクロに似ていると言われるのことと同様ではないでしょうか*3。でも、表層的なことに惑わされずに聴くならば、j-popにおいて新境地を開いた曲であることが分かるように思います。

k-popの要素は、含まれていたとしても少ないのではないかと思います。ネットでは、ある点でk-popの要素を活用していると論じる人に対して、それはk-pop特異的でないと主張する人も見かけました(関連することを後述)。

ともあれ、重要なことはこの作品が良い作品に仕上がっていることです。


「Want you! Want you!」は今までの作品、特に前作とフレーバーは違いますが、指原莉乃の基盤となる考え方には変わりがないと思います。それから、歌詞における言葉選びのセンスに優れていることも以前と同様です。例えば、「もっとあなたに染めてよ、街の景色に曲げれないように」などであり、さらに「chu chu me chu, chu me babe.. 」という英語もどきの何故か心地よく響きのフレーズも含まれています。

以前との違いは、佐々木舞香がお休みをしているために11人体制であることです。それに最適化された作品だと思われますので、彼女がいないから評価が低くするというネットへの書き込みの一部には、気持ちは分かりますが、どんなものかと思うこともあります。


基盤となる考え方とは、メンバーを最大限に活かし、できる限り良いものを提供することです。今回もメンバーの特性を活かすように歌のパート割が行われ、それを活かすように振り付けとMVが作られています。

彼女の考えを、当たり前なことのように思う方もいらっしゃるかもしれません。でも、必ずしも全ての女性アイドルブループがそうではありません。

例えば、秋元康がプロデュースするグループが反例です。そして、秋元康プロデュースは女性アイドルグループのメディア露出の大部分を占めています。

46系(or 坂道系)のことはあまり知りませんが、AKB48フラグシップとする48系の曲は、どんな16人が選抜メンバーとなっても支障が起きないものであり、歌割りは序列順になっています。したがって、音楽が最優先されたり、メンバーの個性が十分に活用されているわけではありません。

このことは、この枠組では矢吹奈子HKT48)を上手く活かせなかったことからも分かります。ちなみに彼女は、日韓合同オーディションのプロジェクトであるProduce48(投票者は韓国の人)において歌唱力が脚光をあびて、10月に発進するIZ*ONE(アイズワン)の一員になりました*4


イコラブの曲の特徴は、サビにソロパートを有するということです。担当するメンバーは、センターである髙松瞳、二人の歌姫である野口衣織諸橋沙夏、そして佐竹のん乃などです。


「Want you! Want you!」において特出すべきことは、髙松瞳がセンターであることを誰にでも分かり易くしたことです。歌詞にもこの曲における彼女の髪型である「少し高めのポニーテール」が入っています。なお、髪型は彼女以外についても指原莉乃が指定したようです。

髙松瞳がセンターであることを分かり易くしたのは、3rdシングル「手遅れcaution」において起きた問題を繰り返さないためだと思います。このMVを観たイコラブのファン以外のほどんどが、野口衣織がセンターであると誤認したようだからです。

そのことをもたらした原因は2つあると思います。1つは、2ndシングル「僕らの制服クリスマス」で野口衣織をフィーチャーしたMV監督(三石直和)が3rdも続いて担当したことです。このMVの評判が良かったので、より彼女をフィーチャーしたのだと思います。

なお、彼はかなり入れ込んで作ってくれたようであり、MVは評判がよいです。ただ、クリエーターとしての意欲が、MVとしての必須事項を遵守することを上回ってしまったのではないかと思います。

ちなみにAKB48のMVの中には、誰にでも本来のセンター以外がセンターと見えるものがあります。センターが柏木由紀/小嶋陽菜である「Green Flash」のMV(監督:是枝裕和)です。そのくらいの我がないと、カンヌ国際映画祭パルム・ドールを得ることは難しいのかもしれませんが…。

もう1つの原因は振り付けを担当したCRE8BOYと指原莉乃が今まで交流がなかった…と推測されることです。このため、彼女の考えが十分に伝わらなかった可能性があります。なお、振り付け作品としては評価を受けています。


「手遅れcaution」でセンターが野口衣織が目立ったことは、彼女がセンターであるべきだといる意見を程度はともあれ生み出しました。指原莉乃がデビュー当初から髙松瞳がセンターであると強く示しているのにもかかわらずです。

この状態に危険性があるのは、AKB48における実例から分かります。センターが前田敦子ではなくスペックが高い大島優子にすべきだという意見が野党気質であるファンを引き寄せた結果、不安定化が起きたからです。

とはいえ、AKB48において前田システムと呼ばれたような特定メンバーに注目を集める売り出し方を、指原莉乃はしていません。できるだけ多くのメンバーに機会を与えることが指原莉乃の方針です。


集中型ではなく、メンバーの個性を活かした分散型であることは、センター向きである髙松瞳をセンターに任じて、その側にビジュアルの2トップを配し、その後ろに2人の歌姫を配していることからも分かります。

ちなみにk-popでは歌が最も上手い人をセンターにするわけではないことを、Produce48において知りました。評価を受けるためにデビュー候補者が数人の単位でグループを組んで歌を披露することが何回か行われたのですが、矢吹奈子が脚光を浴びた「LOVE WHISPER」(GFRIEND)では、彼女はメインボーカルでしたがセンターではありませでした。おそらく、原曲でもそうなのだろうと思います。


髙松瞳は前記のように「Want you! Want you!」のMVにおいてセンターであることが分かり易いように処されています。MVは彼女が仲間と共に、その真ん中で本を抱えて眠っているところから始まります。イラストでのメンバーが映された後、リアルなメンバーは次々と起きて出かけ始め、最後に起きた彼女が本を閉じるとその上にタイトルが映し出されます。

彼女がセンターであることは、MVの最後でも強調されます。まず、帰路にあると思われるメンバーの後ろ姿の中で彼女だけがぼやかさずに映されます。そして、彼女は振り返って=LOVEを示すようなサインを指で作ります。

更に、指原羅莉乃は9月8日には、AKB48のセンターであった前田敦子に言及しながら、イコラブのセンターが髙松瞳であることを強調する効果をもたらすtweetをしています。
https://twitter.com/345__chan/status/1038425781184000000

指原莉乃による強い意図が示されたことに併せて、髙松瞳はセンターとしてふさわしいという評価を得るのに十分なパフォーマンスとプレゼンスを一周年記念イベントで見せています。結果として、不穏要素がかなり少なくなり、グループを安定化したように見えます。


次に特出するべきことは、崩れかけていた二人の歌姫(野口衣織諸橋沙夏)のバランスがかなり是正されたことです。

諸橋沙夏には、これまで不運/不遇なことが少なくとも3つありました。まず、「記憶のどこかで」(1stのカップリング曲)のMVが作られなかったことです。この曲のダブルセンターにおいては彼女がどちらかというと主だったからです。

2つ目は、3rdまでのカップリングを含めた9曲の中で、この1曲だけイベントやライブなどの披露の際に抜かされることが多いことです。これは、この曲のダンスがキツイためであるという説があります。

最後は、3rdのMVにおけるドラマの中で、悪女の役(教育実習生)に配されたことです。演技が見込まれたための起用だとは思います。でも、これでは、フラレてれて慟哭をする女生徒を演じた野口衣織の方に多くの若い女性が共感しても、仕方がないです。


今回のMVにおいて諸橋沙夏が目立つソロパートは、例えば、1分11秒あたりから後方から繰り出して「お気に入りのリップはまだ…」と歌うところです。この他にも焦点が当たることが多く、明るい彼女が分かりやすくなっています。例えば、サンドバックをピンクのグローブで叩くところもかわいいです(歌詞「そう、No Damage ね」)。

諸橋沙夏が繰り出して歌った後、同様なことを1:25から髙松瞳も行います。繰り出して歌うとことが何回かあることで、韓流アイドルに寄せてきたとする人もいるようですが、認識している曲の数と多様性が少ないのではと思いました。
このことは、「手遅れcaution」においてショートカットがセンターをしていること(実は誤認)を根拠に、寄せてきたと捉えた人が、ある46系グループのファンの一部にいたことを思い出させます(ほんの一部だけだったようです)。このことも、そうであったとしても極めて僅かでしょうが、センターを分かりやすくした理由かもしれません。

なお、野口衣織には「Oh baby、見つめていないで、Only one の魔法をかけてよ」(1:55から)という印象的なソロパートの他に、ラップもしています。


もう一人だけ特に記載するならば、音嶋莉沙です。今までよりもかなり可愛く見えるからです。

ペアとなって登場するビジュアル的に強い大谷映美里と同レベルの輝きを呈していることは驚きました(0:30くらいから)。それから、空色のベレー帽*5も印象的で似合っています。

今までの彼女を考えるならば、「クララが立った!!」というレベルで驚いた人もいたと思います。自分のセールスポイントが“かわいさ”だという心構えと覚悟ができた結果なのかもしれません。

彼女が今までは停滞気味であった*6原因の一つは、彼女としては頑張っているつもりであるが、受け手を意識したものではないことがあったためだと思います(例*7)。これが如実に現れたのがバラエティー番組でした。MCが指原莉乃ならば彼女の特質を面白く引き出したと思いますが、芸人のMCにそれを求めることは酷でした。

このMVでは、指原莉乃が深く関与したことが、音嶋莉沙にプラスに働いたように思います。なお、一周年記念イベントにおける運営のあり方も併せて考えると、できるならば指原莉乃はもう少しイコラブに関与する方が良いよいように感じます。


今まで言及していないメンバーは、齊藤なぎさ齋藤樹愛羅瀧脇笙古大場花菜山本杏奈です。この内、大場花菜瀧脇笙古は制服衣装においてベレー帽を着用しています。

齊藤なぎさが暴力的に可愛いのはいつもどおりであり、MVでは2番手の扱いを受けているようです。「もっとあなたに染めてよ」と歌った後にバルコニーから叫ぶ際には、画面では「I want you」と表示されます。でも、一周年イベントで映されていた動画(Youtubeで中継)から、「好きだ~」と叫んでいることが分かりました。

齋藤樹愛羅は、中学生コンビの相方である齊藤なぎさと共にペアで映されることが何度かありました。この他の見どころの1つは、お菓子の入ったカートで運ばれていくところです。なお、Youtube中継ではNGシーンが映されました。


カートの押し手の一人でもある瀧脇笙古は、齋藤樹愛羅と共に「好きだよ」を、韓国語、イタリア語、中国語、フランス語で話す部分にも登場します。

指原莉乃に髪をすこし切ることと少し染めることを示唆された大場花菜は、期待通りに可愛さが激増しています。MVの冒頭でも、メンバーのイラストの後に、髙松瞳、大谷映美里齋藤樹愛羅齊藤なぎさ野口衣織の次にソロで映されています。なお、彼女が映される際には、手のひらに彼女のイラストが乗っています。


山本杏奈はメンバーの中では目立たなかったように感じました。これは、今回のMVではダンスなどスキルよりもアイドル力が重視されたと思われるからです。これに対して彼女は、アクターズスクール広島の出身であり、スキルへの評価が高いようだからです。彼女については次のMVを期待したいと思います。
(追記)山本杏奈の場合はメンバー全員での番組出演/インタビュー/取材などの際にリーダーなので前列に配されることが多いので、MVを観る際にもその配置での印象を基準に判断してしまい、MVにおける実際よりも目立たないように感じてしまうのかもしれません。


ーー以上ーー

*1:https://ameblo.jp/equal-oba/entry-12403341819.html において舞香先生と記載

*2:起点は、MVの公開がイコラブ公式によってtweetされた9月6日13時

*3:イコラブにおいては、3rdシングルのカップリング曲である「樹愛羅、助けに来たぞ」

*4:彼女が背が小さいこともあるでしょうが、韓国では彼女の高温を天使の歌声と評する人もいるようです。

*5:制服衣装においてベレー帽を着用しているのは、大場花菜瀧脇笙古です。

*6:twetterのフォロワーの増加がそれほどではないことに現れています

*7:ラジオ収録においてニコニコしていてもリスナーには伝わらない