女性アイドルグループ=LOVE(以降、イコラブ)の4thシングル表題曲「Want you!Want you!」のMVは、前奏の開始とともに、本の上に突っ伏して寝ていた髙松瞳が覚め始めるところから始まります。
寝起きの彼女がシッカリしてくるにつれて、他のメンバーは出かけ始め、彼女は自分も出かけなかればいけないと気づいて本を閉じます。すると、その表紙によって「Want you!Want you!」という本であることが分かります。
本編では最初に、カフェの屋外と屋内にいるメンバーが何人かごとに映され、やがてどこかに向かいます。そして、彼女たちが到着したスタジオのようなスペースにおいて、ダンスを伴って一番のサビ部分が歌われます。その後は、様々な数人ごとと、全体での歌唱/ダンスが取り混ぜられて続きます。
曲の部分が終わると、メンバーがどこかに帰る場面に変わります。最後尾の髙松瞳が振り返ってイコールラブのサインを示すと、MVは終わります。
このような形式から、小説/ドラマ/映画における群像劇のように見なすことができると思います。その群集劇「イコラブ」における主人公には髙松瞳が該当します。
典型的な小説/ドラマ/映画では、主人公を描くために他の登場人物が脇役として存在します。そのような作品が大多数であるためか、該当する用語が見つかりませんので、ワントップ劇と呼ぶことにします。
ワントップ劇においても、主人公と関係が深い脇役は割とシッカリ描かれます。でも、その度合いは主人公に比べると低いです。
普通の脇役の場合には、人物設定がしっかりしていない場合も少なくないです。主人公を際立たせるためにぼやかして描いているという好意的な解釈もできますが、中にはいい加減に描いているとしか思えない作品もあります。
女性アイドルグループでも、ワントップ劇のようなグループが多いです。48系ではワントップはセンターと称され、SKE48における松井珠理奈、NMB48における山本彩(現在は卒業)、STU48における瀧野由美子が該当します。46系においては何と称するのかはわかりませんが、欅坂46では平手友梨奈が該当するようです。
センターには、多くの機会を与えられ、特別な位置づけになります。テレビを含むメディアにおける処遇も同様であり、マスコミによる記事も多いです。
松井珠理奈(SKE48)がAKB48選抜総選挙2018でトップとなった後に、自らの発言/振る舞いでしばらく活動を休まざるをえなくなったのは、ワントップ劇であるSKE48のセンターとしては許容されていたことが、AKB48選抜のセンターとしては容認されないことを理解していなかったからかもしれません。
ワントップ劇の体制は、マスコミにとっては、他のメンバーのことをあまり知らなくても仕事ができるので楽です。また、グループの運営にとっては、グループをあまり知らない人でもセンターが分かれば何となく分かったような気になってもらえるという点においては有意義です。
しかしながら、大部分のメンバーはワントップ劇における普通の脇役のように印象が残らないという問題があります。特に40人以上を擁する大所帯では、ほとんどのメンバーが割を食うことになります。
48系において群像劇といえるのはHKT48くらいです。HKT48は、できるだけ多くのメンバーに機会が与えられるように気を配っています。なお、センターは緩やかに変わっています。
群像劇「HKT48」の主人公は、楽曲のフォーメーションにおいて2列目に控える指原莉乃です。知名度が高い彼女がサッカーにおける司令塔のポジションにいることによって、様々なメンバーに注目が当たるようにできますし、グループのイメージが崩れません。
個人的には、HKT48における群像劇は、ワントップ劇よりも好ましいと思います。残念ながらHKT48において完璧に理想通りには行かないのは、本拠地がメディアやマスコミがほぼ集中している東京から遠い福岡市であるために機会が少ないことと、人数が多いので機会の行き渡り方が薄いことのためです。このため、意図することではないのですが、選抜になりがちなメンバーとそれ以外では、どうしても差ができてしまいます。
ワントップ劇でも群像劇でもないのは、AKB48選抜とNGT48です。AKB48選抜のセンターは前田敦子が卒業してから、NGT48については最初から毎回変わっていると思います。このため、知名度が高いAKB48はともかくとして、NGT48は捉えにくいという印象があります。
イコラブに話を戻しますと、群集劇としてはHKT48よりも格段に上手くいっていると思います。主な要因は、センターが固定されているので話の筋を追いやすいこと、拠点が東京であるために機会を得やすいこと、メンバー数が12人であって比較的に少ない(HKT48の約1/4)ので機会が行き渡りやすいこと、プロデューサーが知名度が高い指原莉乃であるためにすんなりと記憶に残りやすいことです。
群像劇の主人公は、前述のように髙松瞳です。太陽のような存在であり、彼女がセンターであると他のメンバーは安心するようです。
彼女の他に、群像劇におけるストーリーの主とみなされることが多いのは、齊藤なぎさや大谷映美里です。最近では野口衣織が主とみなされることも増えてきました。でも、これは現時点においてであり、これからは徐々に変わっていく可能性があります。
この3人にはそれぞれが違う特徴があります。現在は中学3年である齊藤なぎさ(下から2番目)はロリ的に可愛く、大谷映美里は可愛いお姉さん的であり、そして、野口衣織はボーイッシュなショートカットです。なお、大谷映美里と野口衣織は女性に人気があります。
齊藤なぎさは、指原莉乃がよく使うロリ的メンバーを売り出すやり方で最初は売り出されました。HKT48において“さくらたん”(宮脇咲良)と“なこみく”(矢吹奈子&田中美久)に適用されたもと同様です*1。以下の指原莉乃によるプロモーションtweetの時点では、ロリ的な可愛さに留まっていたですが、段々とロリ的でない可愛さが現れてきました。
齊藤なぎさの可愛さは「スカッとジャパン」(フジテレビ、6月11日)の1分間ドラマへの出演*2をキッカケに、可愛い女の子好きに知られるようになりました。映画「ナツヨゾラ」(監督:向井宗敏)での主演も決まりました。
彼女は自分を可愛く見せることも上手いです。彼女のある動画tweetについて指原莉乃は、「全然意味わからん動画だけど顔が強い。」と評しています。頭の良さが受け答えに現れたのが、3rdシングル「手遅れcaution」の記者会見です。
大谷映美里は服の選び方と着こなし方に優れており、ファッションと美容において、メンバーに一目置かれています。ファッションは、大人しくて明るい性格にあった穏やかなものものであり、自己主張の強いものではありません。彼女の喋りはそんなには滑らかなではないのですが、よく考えてから言葉を選んで話すので、信頼感を得やすいようです。
最近はファッションと美容の個人仕事が増え始めています。RAY12月号では「もっと知りたい!大谷映美里ちゃん」という特集(5ページ)がありました。
コレクションモデルを秋と冬に務めたハニーシナモン(若い女性向きのファッションブランド)とのコラボ服も作られています。最近に発売されたパーカー(男女兼用)はオシャレで好評のようです。
野口衣織は、デビュー当時は田舎のおねーちゃんという感じでした*3。最近までは、服はしまむらやサンキで買ったものであり、ファッションには興味がなく、お小遣い/給与の多くはアニメ関係に費やされていたようです。とはいえ、かなり早い時点で垢抜け始め、喋らなければショートカットの美少女で通るようになりました。
彼女が注目を浴びることになったキッカケは、2nd、特に「手遅れcaution」3rdのMVにおいて監督の三石直和に重用されたことです。声がデカくて憑依的であることが、声量があって表現力があると評価につながりました。黙っているとクールであると勘違いされますが、喋る機会を与えると、止めどもなく話し続けるアニヲタです。そのヲタヲタしいことが同好者に好感をもたれると、アニメ関係のラジオ番組などへの出演が増えてきました。
最近では他のメンバーも活躍の場を広げています。例えば、大谷映美里が最近はすっと登場している女性ファッションbis(ビス、隔月)の2018年11月号には、彼女と共に諸橋沙夏と音嶋莉沙が登場しました。そして、この2人と大場花菜には、ファッションブランドであるRoseMarie seoirの撮影が最近あったようです。
- RoseMarie seoirの撮影の際の写真を掲載した諸橋沙夏のtweet
- RoseMarie seoirの撮影の際の写真を掲載した音嶋莉沙のtweet
- RoseMarie seoirの撮影の際の写真を掲載したの大場花菜tweet
大場花菜はデビュー当時と比べると、かなり垢抜けてきています。4thシングル「 Want you! Want you!」において「髪の毛切って、染めた方がいいよ」という指原莉乃の示唆に従って変えた髪型は、かなり好評です。
彼女はイコラブにおけるブログ担当であり、ブログ「はなまるきぶん」の以下の記事では、彼女の可愛くなるための頑張りが分かります。
ameblo.jp
ameblo.jp
このブログはイコラブメンバーの日常をユーモアがある軽やかなタッチで描いており、好評です。群像劇「イコラブ」の語りとなっているとも言えます。
今まで名前をあげなかったメンバーは、齋藤樹愛羅、瀧脇笙古、佐竹のん乃、山本杏奈と4thシングルではお休みした佐々木舞香です。最近のtweetがない佐々木舞香を除いて簡記します。
齋藤樹愛羅は最年少で、容貌と話し方はロリ的ですが、4thのc/w曲「今、この船に乗れ!」のMVはでは腕相撲で野口衣織に勝っています。この曲の冒頭の歌詞にある“料理長のスペシャルカレー”は瀧脇笙古に宛てたものです。佐竹のん乃は、幅広いアイドルヲタクであり、普通に自信があればビジュアル担当になりえたと思います。山本杏奈(21際)は身長が小さいこともあって、見た目はもうすぐ21歳になるとは思えないのですが、リーダーを務めています。
- おみくじで吉が出た後の着物姿の齋藤樹愛羅のtweet
- 風強めの際におけるポニーテールの瀧脇笙古のtweet
- 誕生祭でファンから送られたパーカーを着用した佐竹のん乃のtweet
- 地元の広島の番組に出演した山本杏奈のtweet
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