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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

イコラブの6thシングル「ズルいよ ズルいね」(プロデュースと作詞:指原莉乃)についての女子高生による解説(EMMARY)の紹介と、近田春夫による批評(週刊文春のコラム)についての考察。

指原莉乃がプロデュースする女性アイドルグループ=LOVE(以降、イコラブ)の6thシングル「ズルいよ ズルいね」(2019年10月30日発売)が好調です。オリコンビルボードのチャート(売上、総合)において週間1位になり、累計売上はオリコンでは16万枚、ビルボードでは20万枚に達しそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=J5eTB_0SEeg

作詞は指原莉乃が務め、作曲には長沢知亜紀と永野小織、編曲には湯浅篤が起用されています。作曲の2人は、イコラブ曲(c/w曲を含む)での初めての起用です。

この曲は、通学の際に知り合った人と失恋を、失恋した女性の目線で描いています。MVではメンバー11人が演じる女性の失恋の断片が描かれています。


この曲については、近田春夫週刊文春に連載しているコラム「考えるヒット」において取り上げました(2019年11月28日号、11月21日発売)。題名は「指原プロデュースのお行儀の良さと確信犯的な女性視点の歌詞」です。

タイトルから分かるように一定以上の評価はしています。少し具体的な内容については、もう一つの紹介記事について記載した後に書くことにします。

なお、このコラムの冒頭の記載によると、彼は「ズルいよ ズルいね」というタイトルに好奇心をそそられたようです。ちなみに彼はこのコラムにおいて指原莉乃のアイドル卒業の際に以下の記事を書いています。このコラムの最後の文章は少し違う意味で実現しつつあるようです。
bunshun.jp


さて、週刊文春の読者層の子供や孫の年代をターゲットにするウエブ上のメディアにEMMARY(編集長:鶴嶋乃愛)があります。ライターは全員女子高生です。そのEMMARYも「ズルいよ ズルいね」について解説した記事を掲載しています。
emmary.jp

はるメロンさんさんによる記事は、自分たちの年代のために書かれている曲だという認識に基づいていると思います。題名も「【=LOVE】神シングル降臨!!『ズルいよ ズルいね』を5つの推しポイントから徹底解説♡」となっています。このため、(専門家でない)普通の人としてこの曲を味わおうとする人の多くには、近田春夫の観点の記事よりも役に立つ可能性があります。


イコラブは若い女性ファンが多いグループです。秋元康がプロデュースするグループ(48系と46系)のファンがイコラブのイベントに来ると、若い女性が多いことに驚くようです。

ファンにおける男女比はイベントにおいては概して男性の方が少し多いように現れるようですが、twitterで観測すると、10代では女性の方がかなり多いという印象があります。イベントでも、女性が行きやすいスペースでの開催では、女性が圧倒的に多かったという報告をtweetなどで見たことがあります。

カラオケのjoysoundの提供しているデータをみると、イコラブ曲を歌う人のほぼ2/3近くが女性であり、この割合は秋元康プロデュースグループよりもかなり多いです。イコラブの他の女性アイドルグループとの比較ついては以下のブログ記事で既に書いていますので繰り返しません。
natuka-shinobu.hatenablog.com


joysoundのデータは火曜日に更新され、毎回、若干の変動があります。上記記事(10月21日公開)を書いた際には女性比率は65%でしたが、現在は64%です。

最新データのキャプチャーをイコラブ曲と「ズルいよ ズルいね」について示します。これを観ると「ズルいよ ズルいね」を歌う人での女性の比率は70%であり、イコラブ曲を歌う人よりも高いです。


そして、女性における10代と20代の割合の合計は、イコラブ曲では約90%と高く、「ズルいよ ズルいね」ではさらに高いです。このことから歌う人としては、若い女性が圧倒的に多いことがわかります。

若い年代を10代と20代とするならば、イコラブ曲を歌う人での若い女性の割合は57.6%になります。女性比率が64%であり、女性における若い年代は90%だからです。「ズルいよ ズルいね」の場合には更に高くなります


さて、近田春夫は68歳であり、joysoundの提供しているデータのカテゴリーでは60代以上の男性に該当します。しかしながら、60代以上の割合は男性における円グラフにおいて確認できないほど低いです。

このように書いてしまうと、近田春夫の文春コラムは読む必要がないという話の展開なのかと思われたかもしれませんが違います。彼のコラムは、思考や感性が女子高生よりも彼に近い人には分かりやすいのだろうと思うからです。

イコラブにとっては、年配の男性に理解してもらうキッカケの1つを作ってくれたことはありあがたいと思います。テレビへの出演や雑誌への掲載、そして販売店などでのCDの供給を決めることに関わることが多い層だからです。

今までのイコラブ曲は若者向けが多いので、年配年代には響きにくかったようです。これがイコラブのテレビ出演の機会が稀である一因かもしれません。「ズルいよ ズルいね」は今までの表題曲よりも、歌詞の内容でも曲調でも上の年代に響きやすいようなので、彼が紹介するイコラブの作品としてはより適していたと思います。

適していたことは、上掲のデータでの男性における年代割合からも推測できます。イコラブ曲全体では40代以上に30代を加えてようやく過半数となるのですが、「ズルいよ ズルいね」では40代以上だけでも余裕を持って過半数を超えます。


近田春夫の「ズルいよ ズルいね」についてカラムは、前半は作曲/編曲に関してであり、後半は歌詞についてです。なお、彼の観点では歌詞の聞き取りやすさは作曲/編曲の範疇に入るようです。

作曲/編曲に対する彼の評を以下に引用します。

この作/編曲にしても、たしかによくまとまっていることはよくまとまっているのだけれど、枠からはみだそうとか、羽目をはずそうとかするところが一切ないというか、いかにも“今どきのアイドルが歌う歌”然としたつくりに終始した手堅さが、なにより強い印象に残る。

彼は作詞よりは作曲/編曲を生業にしているのだと思います。その観点からは物足りないのだろうと思います。でも、一般の人であるイコラブのファンからは好評です。

イコラブ曲では作曲/編曲は、(専門家の感覚において)枠からはみでることも、羽目をはずすことも求められていません。指原莉乃よる歌詞と、メンバーへのパート割でファンは十分に満足するので、(コラム名をお借りするならば、)作曲/編曲に求められているのはホームランではなくヒットなのです。

イコラブ曲では今までもサビにおけるソロパートが多かったですが、この曲では歌詞の76.4%が(メンバーの技量と声質を考慮して割り当てられる)ソロで占められています。そして、全員歌唱は全くありません。

秋元康がプロデュースグループがCD売上のほとんどを占めている女性アイドル業界では、それだけでも十分に特徴的なことです。そこでは、全員歌唱がほとんどを占めており、それ以外が序列に基づいて割り当てられているからです。


歌詞の聞き取りやすさはiPhoneを使った近田春夫流の評価によると以下のようです。

jpop歌唱のご多分にもれず、この度も、聞き取れる歌詞は三割強といったところか?

これについては失礼ですが、年齢的影響もあるのでは邪推してしまいます。実は私はそんなに耳がよくないのですが、初見の際に少なくとも7~8割は聞き取れたような記憶があるからです。

前にも記載したように、イコラブのファンは若く、彼よりも半世紀後に産まれた者が少なくないです。聞き取れなかった部分があったとしてもその割合は少なく、文字数が多いこの曲の歌詞においては、大きな支障はないと思います。

それに、この曲のMVには歌詞が表示されるようになっており(CD発売の27日前に公開)、joysoundにおけるこの曲のページには歌詞が記載されています。


ありがたい時代になったものです。ウエブが存在しない時代には、間違えて覚えた歌詞をありがたがることが稀ではなかったからです。

近田春夫が子供の頃に歌ったであろう曲では、例えば、唱歌「故郷」(作詞:高野辰之、作曲:岡野貞一)や童謡「赤とんぼ」(作詞:三木露風、作曲:山田耕筰)です。概して唱歌や童謡は歌詞は短いので、そのかなり重要な部分においてならば、捉え間違えの影響は大きいです。該当する歌詞部分は、「故郷」では “兎追ひし彼の山”(誤例:兎 美味しい彼の山)、「赤とんぼ」では “夕焼小焼の赤とんぼ、負われてて見たのは”(誤例:夕焼小焼の赤とんぼ、追われてみたのは)です。


近田春夫は「ズルいよ ズルいね」の以下の歌詞部分について取り上げています。

神様 どうか
伝えてください
「君は綺麗だった」と

「君は綺麗だった」というのは失恋した女性が言われたい言葉だと思います。しかしながら、歌詞全体は失恋した女性の目線で描かれているで、この歌詞部分もそうであるとすれば“君”が失恋相手を指しているように捉えることもできるます。近田春夫はこの捉え方において解釈しています。ただ、その思考の際に、“師匠筋の秋元康も一人称は僕だったりするから”としているので、的はずれな予感はします。

指原莉乃もこの歌詞部分に違和感を感じる人がいることは分かっていると思います。それが分かっていながらこのようにしたと推測します。近田春夫は以下のように述べています。

重要なのは、それが彼女の無意識の産物だったか、戦略的確信犯的作業の賜物だったかだ。私は後者だと判断するだけの曲を歌詞中に見出すものであるが、紙幅が尽きた。説明はまた今度するネ(笑)。

私は彼の解釈があっているかは別にして、“戦略的確信犯的作業”ということには同意します。ちなみに私はこの部分を「神様どうかお言葉をください『汝(なんじ)は綺麗だった』と」いう意味だと捉えて、それ以上の思考で時間を費やさないようにしています。


私と違ってこの種の思考をすることが好きな人もいます。その人達にはこの歌詞部分が楽しみの素になると思います。

有名な曲でも解釈が様々にありえる歌詞部分が存在するので、彼らの楽しみの素となっている可能性があります。例えば前述の「赤とんぼ」の三番の歌詞です。具体的には、“十五で、姐(ねえ)やは嫁にゆき、お里のたよりもたえはてた” における “お里のたより” の解釈です。


“君は綺麗だった”という歌詞部分の解釈で楽しみたい人には、指原莉乃はダブルミーングの使い手であることをお伝えしたいと思います。例えば、この曲のc/w曲である「sweetest girls」(センター:大谷映美里)における “準備OK! 冬を待つの。シナモンたっぷり ココアを飲んで” という歌詞部分における “シナモン” です。MVでは2:43頃から始まります。

シナモンは大谷映美里が好きなサンリオのキャラクターであるシナモロールの愛称であり、彼女がモデルを務めるファションブランドがハニーシナモンだからです(イコラブとシナモロールとのコラボ商品と、大谷映美里とハニーシナモンのコラボ商品がありますが、両方ともに売り切れていると推測しますので、この曲がそれらの販売に役立つわけではあないと思います。)。


ーー以上ーー