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人によっては「夏かし」と呼ばれているものです。

冨田菜々風(≠ME)によるソロ曲「空白の花」における告白することもなく、気づかれずもせずに終わった恋

冨田菜々風が歌う「空白の花」がMVとして公開されました(5月26日)。告白することもなく、気づかれずもせずに終わった女子学生の恋を描いています。

彼女が所属する女性アイドルグループ≠ME(通称:ノイミー)としては、最初のソロ曲です。作詞はいつものようにプロデューサーである指原莉乃が務めています。作曲は長浜駿平、編曲は若田部誠です。

MV監督は山戸結希であり、1月に収録されました。主演は冨田菜々風であり、他の≠MEメンバーは出演していません。

彼女にソロ曲が作られることを伝えた際の指原莉乃の言葉によるとCD化はないようです。≠MEの初オリジナル曲「≠ME」と同様に配信の可能性はあるかもしれないそうです。

その様子を収録したTeaser動画は、去年の11~12月頃の収録だと思われます。冨田菜々風の服装と、指原莉乃佐竹のん乃=LOVE)のセンター曲(6thシングル c/w曲)に言及していたことからの推測です。


統計があるかはわかりませんが、恋の大部分は告白することもなく、気づかれずもせずに終わるのかもしれません。もちろん、恋愛体質の人達やラテン的気質の国では、その度合は低いのだろうと思います。

それにかかわらず、恋をメインとするドラマや歌におけるその部類の割合がそれほど高くないのであれば、作品にすることが難しいからだと思います。成就する恋、一度は成就する恋、告白して玉砕する恋よりも、作品上に表すことができることが少ないからです。

「空白の花」は、良い作品となっていると思います。それに貢献しているのは、指原莉乃による歌詞を含めた楽曲の力と冨田菜々風の歌唱力、そして、山戸結希によるMVの力だと思います。

MVが付加要素に過ぎない場合や、MVの自己主張が強いことを見かけることが稀ではないです。でも、この曲では歌詞との連動の度合いが高く、一体感が大きいです。


指原莉乃による歌詞が素晴らしいことは、「空白の花」というタイトルからも推察できると思います。何故か分かりませんが、惹きつけられてしまう曲タイトルです。リアルな3次元の花でないので、時間を越えて広がっている感じがします。

とくにコロナの関係で空白ができた人には感慨深いタイトルだと思います。想像しやすいのは、例えば卒業式などが自粛のために行われなかった学生です。

空白は指原莉乃がプロデュースする=LOVEと≠MEにもたらされました。=LOVEでは春のツアー(北関東3県と東京)が中止になり、4月29日に発売予定でした7thシングル「Cameo」は延期になりました(7月8日に再決定[6月2日])。

そして、≠MEでは初めてのツアー(南関東3県)が中止になりました。そこでは、この曲がサプライズで披露された可能性もあります。このツアーの最後に≠MEのCDデビューが発表された可能性があることを考えると、なおさら残念です。

この曲にとって幸いであったことは、MV撮影がコロナによる自粛が起きていない1月に済んでいたことです。このため、MVの世界では卒業式を行うことができています。MVの主人公とっては、2月半ば以降のことは辛いことかもしれませんが…。



MVの舞台は男女共学の高校です。主人公を含む女生徒は歌詞の1番での場面では夏服のセーラーを着ています。そして、2番以降では冬服のセーラーに変わります。

1番の前奏では冬服です。MVが既に終わってしまった恋を眺めるものだからです。

前奏では彼女は教室の窓側の席に座り、なにやらを机に書いているようです。でも、撮影カメラの角度からその内容は分かりません。分かるのは、卒業証書が入っていると思われる筒を携えていることだけです。

やがて、カメラの視点が変わると、彼女がこの時点で書き終えたのは、歌詞の初めに一致する“好きな人がいたんです”であることが分かります。その近くに桜の花も舞い落ちます。

彼女はさらに書き続けるのですが、カーテンが被さって見えなくなります。カーテンが過ぎ去って再び見えた彼女は夏服になっています。

歌が印象的な冨田菜々風にふさわしく、MVには彼女が歌唱する姿も含まれています。卒業式を抜けて絶唱する部分はもちろんのことならがら、他の部分でも冬服です。夏服の時点では気持ちが潤ばしいるところまでは至っていないだと思います。


1番の最初の歌詞部分から、彼女の恋が始まったのは5月であることが分かります。

好きな人がいたんです
5月の風が吹く頃だった
好きな人だったんです
斜め前の席の君が

新しい始まりである4月から一ヶ月経った頃に彼のことを意識し始めたのだろうと思います。どの学年の春であるかはわかりませんが、MVでの夏服から冬服への変化は一度だけですから、3年の春と考えることが順当だと思います。

5月なのに夏のセーラーなのかと思った人もいたかもしれませんが、冨田菜々風の故郷の鹿児島は温かいのでゴールデンウイーク後には夏服なのかなぁと思ったりもします。MVには雪の場面も出てきますが、鹿児島でも稀ですが雪は降るようです。

もちろん、ソロ曲とはいえ、デビュー前のグループの一員のMVの撮影が旅費がかかる鹿児島で行われたとは思えません。また、MVの主人公のような恋は、日本のどこでも起きることです。


歌詞の続きから、主人公は彼を意識するようになったものの、二人の距離が近づくことはなかったと推測されます。夏服の彼女は彼のことを見ているだけで満足していたように感じます。

距離は近くなる事もなく
背中も見えない恋でした
想うだけ 見てるだけ
それでよかった

そのことは、さらに続く1番のサビにも現れています。

この恋が花だったら
学名すらないでしょう
気付かれず 見つからずに
そっと咲いて 枯れるだけ
空白の花


しかしながら、曲の最後のサビでは少し感じが違います。“もう少し 綺麗だったら”ば、恋の結果は違っていたとも、受け取れるからです。何が起こったのでしょうか。

この恋が花だったら
学名すらないでしょう
もう少し 綺麗だったら
誰かきっと 気付いてた
空白の花


冬服となった2番の伴奏の場面は学校の図書館だと思います。彼女が受験関係の本を取ろうとすると、彼女が容易に取れる高さであるのにもかかわらず、彼が手を重ねてとってあげようとします。過剰な親切なので、この映像だけを見ると、恋は上手くいきそうな感じもします。

ちなみに、彼女がいたのは大学受験のためのコーナーであり、実際に取ろうとしたのは“代々木大学”のものでした。ただ、この本はいわゆる赤本ではなく青いです。

調べてみると、超難関の大学に対してのみ発行されている青本というものらしいです。確かに、彼女の高校3年の冬に行われた≠MEのメンバーオーディションは難関だったと思います。姉さんグループである=LOVEが既に成功を収めていたからです。


2番の最初の歌詞は以下のものです。

好きな人がいたんです
友達にさえ言えなかったけど
好きな人だったんです
笑った顔を見た日から

この歌詞によると、彼女の気持ちは冬服の季節になっても密やかであって、友達にも知られることがなかったようです。また、彼が過剰な親切とも取れることを自然にしているところを見ると、彼が彼女の気持ちに気づいているとは見えません。

彼女の恋に友達や周辺が気づいていたら、彼女の恋は違う結果になっていたかもしれません。でも、彼女が美人だから、恋の道が開けていったかもしれないという意味ではありません。

ちなみに。歌詞では“もう少し 綺麗だったら”となっていますが、彼女は十分に美人です。ただ、顔立ちが整っているので、かえって美人だと気づかれにくいタイプかもしれません。


彼女が恋を失ったことがわかるのは、2番が終わった後の大サビです。

少し憂鬱な月曜日も
長く感じる授業だって
ねえ 全てが好きでした
光刺さない雨の日でも
君の隣のあの子だけが
眩しく輝いてた

“あの子”が彼のそばで輝くことになったのは、MVにおいては、バレンタインに彼にチョコレートを渡したからです。“あの子”は窓際の席の彼にカーテンを使って上手く隠れながら渡しました。でも、斜めに後ろの席の主人公にはよく見える角度でした。


実は“あの子”よりも前に彼にチョコレートを渡そうとしたのは主人公です。でも彼女がスクールバックを開けて、それを取り出して立ち上がろうとしたところで、友達が後ろから抱きついてきます。歌詞では“好きな人がいたんです 友達にさえ言えなかったけど”が該当します。

 
友達が彼女の恋を知っていたならば、彼女に抱きついてこなかったかもしれません。また、身振りで意図を友達に伝えられたかもしれません。そうでなかった彼女はタイミングを逸してしまい、チョコレートを渡す“あの子”を見ているしかできませんでした。

引き続く歌詞である以下の部分も、MVと連動しています。

私だけのプレイリストは
君の好きな曲ばっかりで
聴くたびに深くなる
勝手な気持ち

“私だけのプレイリストは”では、教室ではチョコレートを渡せなかった主人公が、自転車置き場で彼を待ちながら音楽を聞いています。そして、その後の“君の”において彼が現れます。

でも、現れた彼に彼女がイヤフォンを外して近づこうとしたときに、“あの子”が登場して、二人は一緒に帰っていきます。残酷なことに、彼女は二人が初めて一緒の帰路の目撃者になります。歌詞では“勝手な気持ち”が該当します。


MVではしばらくの間、二人が上手く行っているかは分かりません、下駄箱で彼が主人公に爽やかに接触する場面や、雪の中で彼女が歌った後に渡すはずであったチョコレートを食べる場面などがあるだけです。


しかしながら、“君の隣のあの子だけが 眩しく輝いてた”に該当するMV部分において、彼と“あの子”が上手く行っていたことが分かります。主人公は窓から、二人が一つの傘に入って歩いているところを目撃するからです。


この際に彼女は恋が終わったことを理解したでしょうが、受け入れたのだとは思います。しかし、卒業式において彼女にとってショックな事がおきます。なお、卒業式における映像は、大サビの後のサビに該当します。

彼女は着席時に二人が密かに指をつないでいることに気がつくと、いたたまれなくなります。でも、歌詞が1番と同じ“この恋が花だったら 学名すらないでしょう”までは彼女は冷静であり、皆と一緒に立ちあがります。

ところが歌詞の続きは1番での“気付かれず 見つからずに”ではなく、“もう少し 綺麗だったら”に変容しています。彼女は“もう少し”において後ろを向いて会場から逃れるために走り出し、“綺麗だったら”が終わると振り返り、歌い始めます。


彼女がまず歌いあげる歌詞分は、“誰かきっと 気付いてた 空白の花”です。そして、フェイクを入れた後に“空白の花”を繰り返します。

もちろん、この彼女の歌唱は心的風景なのだと思います。その後に、会場の後ろ扉を開けて教室にたどり着いた彼女は、歌唱時には見えなかった筒を携えているからです。


次に映される彼女は、窓際の机に覆いかぶさったような状態で何かを書いています。この時点ではMV鑑賞者はこの席が彼の席であることを理解していると思います。

体を起こすと、胸には卒業式にいたことを示す花あります。

彼女が席を離れると書かれていたものが分かります。それは、“この恋が花だったら”で始まり、“空白の花”で終わる最後のサビです。桜の花びらが歌詞の“花”の上に舞い落ちて、MVは終わります。




「空白の花」は指原莉乃がプロデュースする2グループに対して初めて作ったソロ曲です。そのためか、ソロ曲が自分のために作られたことを聞かされた時に冨田菜々風は著しく驚いていました。このこともあり、指原莉乃は彼女にソロ曲を作った理由を説明しています。

もちろん、彼女が贔屓されているというヤッカミが起きることを防ぐための配慮でもあったと思います。=LOVEはこの時点において6枚のシングルを発売していたのに対して、≠MEは今でもCDデビュー前だからです。

とはいえ、この時点において≠MEには2つのオリジナル曲があり、共に彼女がセンターを務めていました。また、多くの女性アイドルグループが参加するイベントでの出番の順から推測すると、≠MEは業界でも既にある程度以上の評価を得ていました。

ちなみに、指原莉乃プロデュースグループとして初めて公開されたソロ曲は、諸橋沙夏=LOVE)による「My Voice Is For You」となりました。4月23日にMVが公開されたこの曲は7thシングルのc/w曲です。

このMVは残念ながら、暫定版です。既に撮影されている予定であったの本来のMVの撮影は、コロナのために今もできないでいるからです。暫定版とはいえ、現MVもとても良いですが…。


指原莉乃の説明は、自分が書きたい内容とその時点の冨田菜々風の声がマッチしたから、冨田菜々風のソロ曲ができたというものでした。このことは曲を聞くとよく分かります。冨田菜々風はまだ荒削りだけど、得も言われぬ人を惹きつける声であり、この曲に向いていると思うからです。

彼女は現在は指原莉乃が信頼するボイストレーナーに学んでいるようです。現時点で歌うならば、違うように聞こえるかもしれません。

指原莉乃は4月26日のtwitterでは“イコラブメンバーでは上手すぎる、これからの菜々風でもきっと上手すぎる”と書いています(https://twitter.com/345__chan/status/1265151977979142144)。これに続くtwitterでは“菜々風、歩く青春だなあ!片思い中、切ない歌好きの方ぜひ。”と説明をくわえています(https://twitter.com/345__chan/status/1265245051178770432)。


指原莉乃がTeaserにおいて“CD化もしない、いつどうやって表にだすのかも分からない”としていた「空白の花」のMV公開は、前述のように5月26日になりました。「 My Voice Is For You」の公開(4月23日)の1ヶ月少し後です。

このことを、諸橋沙夏とそのソロ曲に、初ソロ曲という冠を与える配慮だったと見なす人もいます。私はそのような配慮もあったかもしれないけれど、日本におけるコロナの状況とも大きく関係しているように思います。政府による4月7日からの緊急事態宣言の全面解除が5月25日だったからです。

「空白の花」は、緊急事態宣言がもたらした「空白」を振り返ることができる時点で聞くほうが味わえる曲だと思います。これに対して「 My Voice Is For You」は緊急事態宣言の間に希望を照らし出すような曲だったと思います。もちろん、「空白の花」の公開は、初のツアーが中止になった≠MEのメンバーとファンに未来への希望をもたらしたと思います。


指原莉乃がプロデュースする曲が好きな私としては、「空白の花」がお蔵入りにならずに公開されたことは嬉しいです。

「空白の花」は=LOVE/≠ME曲とは違って、アイドル曲の範疇には入らない曲です。例えば、あいみょんのような若手実力派女性シンガーが歌っても不思議でない部類のものです。

勝手な希望を述べさせていただけるならば、年に1、2曲くらい指原莉乃に冨田菜々風へのソロ曲を作ってもらい、配信で発売してもらいたいです。そのことは作詞者/プロデューサーとしての彼女の評価を上げることになると思います。


冨田菜々風は良い曲をもらったと思います。より多くの人に聞いてほしいと祈念してこのブログ記事を終えることにします。


ーーー以上ーーー